キャリアカーとは
キャリアカーとは自動車を運搬する専用車両のことで、積載車とも呼ばれます。
新車輸送や中古車輸送に使われるキャリアカーには、大型トラックタイプの単車と、トレーラータイプのキャリアトレーラーがあります。単車もキャリアトレーラーも複数台の自動車を効率的に配置して積載できるよう、二段構造の荷台を持ちます。
一方、自動車整備会社などが修理車両や事故車両の運搬用途で保有するキャリアカーはローダーといい、1台のみ積車可能な小型トラック並のサイズで機動力があります。
キャリアカーの種類によって必要な免許は異なる
単車の運転に必要な免許とは
自動車の運転免許には、主な四輪免許だけでも普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許の4種類があり、最大積載量と車両総重量という2種類の重量表記で区分されています。もし片方の数値だけでもオーバーすれば、免許条件違反となります。
そこで重量に注目してキャリアカーの運転に必要な運転免許を調べてみると、車体重量は、大きさで異なりますが、その車体重量を大きく左右するのは積載台数です。このとき一般的な単車の場合、2台~5台を積めます。
単車(キャリアカー)の運転に必要な運転免許
- 2台積と3台積の単車の場合:最大積載量は約3.2トン、車両総重量は約8トンです。両方の数値をクリアして、運転に必要な免許は中型免許です。
- 4台積と5台積の単車の場合:最大積載量は6.5トン以上、車両総重量は11トン以上になるため、運転に必要な免許は大型免許です。
ローダーの運転に必要な免許とは
キャリアカーの中で最も小さい部類に属するローダーが一度に運べる自動車の台数は1台です。
小型トラック並の大きさのローダーに自動車を1台積載するだけなので、外観だけで判断すると普通免許でも運転できそうに見えます。しかし、実際には準中型免許、もしくは8トン限定中型免許がこのタイプのキャリアカーの運転には必要です。
理由は積載量です。現行の普通免許で運転できるのは、最大積載量2トン未満ですが、普及帯のローダー(フラトップ、ユニックキャリア、エスライド)の機種は、最大積載量2トン~3.5トンの仕様だからです。
運転免許は、基準となる免許よりも上位免許の持ち主であれば、それ以下の重量区分の車両はすべて運転できます。例えば、大型免許の保有者は、大型トラックの運転だけでなく、ローダーも運転可能です。

トレーラーの運転に必要な免許とは
トレーラーが運搬できる車両台数は6台から8台なので、単車よりも重いです。よって、準中型免許や中型免許ではトレーラーの免許条件を満たしません。
トレーラーの運転には、最大積載量6.5トン以上、車両総重量11トン以上の大型免許が必須です。加えて必要な免許が、牽引免許です。750kgを超える車両をけん引するには、牽引免許が必要であると道路交通法で定められているからです。
したがって、キャリアカートレーラーの運転手は、少なくとも大型免許と牽引免許の両方を保有しています。この2つの免許があれば、海上コンテナドライバーやタンクトレーラーなど、他の大型トレーラーを運転する仕事に転職する際にも有利になります。

運転免許を取得した時期によって運転できるキャリアカーの大きさは違う
平成19年6月1日以前に免許を取得した人が運転できるキャリアカー
平成以降で初めて免許制度が改正されたのは、平成19年6月2日です。同年6月1日以前の免許区分には中型免許がなく、下表のとおり普通免許と大型免許の2種類のみでした。
普通免許 | 大型免許(政令大型車) | |
車両総重量 | 8t未満 | 8t以上(11t以上) |
最大積載量 | 5t未満 | 5t以上(6.5t以上) |
免許取得後に免許条件が改正された場合、取得時期の条件が改正後を上回る状態になっても、数値変更なしで適用される『既得権の保護』が認められます。
よって、平成19年6月1日以前に普通免許を取得した人は、今でも車両総重量8t未満、最大積載量5t未満が運転できる、いわゆる8トン限定免許保有者とみなされます。運転できるキャリアカーはローダーと3台積までの単車です。
平成19年6月1日以前に大型免許を取得した人は、現在でも大型免許保有者の扱いとなるので、単車はもちろん、牽引免許があればトレーラーも運転できます。
平成19年6月2日以降、平成29年3月11日までに免許を取得した人が運転できるキャリアカー
平成19年6月2日から平成29年3月11日までの免許制度は、中型免許が加わり、普通免許、中型免許、大型免許の3種類でした。
普通免許 | 中型免許 | 大型免許 | |
車両総重量 | 5t未満 | 11t未満 | 11t以上 |
最大積載量 | 3t未満 | 6.5t未満 | 6.5t以上 |
前述の既得権の保護が適用されるため、平成19年6月2日から平成29年3月11日の間に普通免許を取得した人は、車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満の自動車を運転できる5t限定免許の扱いです。
現行の準中型免許よりも重量区分が低いため、単車は運転できません。5t限定免許で運転できるキャリアカーは、最大積載量3tまでのローダーの一部に限られます。
なお、同時期に中型免許か大型免許を取得した人は、現在でも区分変更はありません。つまり、中型免許で運転できるキャリアカーは3台積の単車まで。大型免許では全ての単車と、トレーラー(要牽引免許)となります。
平成29年3月12日以降に免許を取得した人が運転できるキャリアカー
平成29年3月12日に免許制度が再び改正されました。新たに準中型免許が加わり、現行の免許区分となりました。
普通免許 | 準中型免許 | 中型免許 | 大型免許 | |
車両総重量 | 3.5t未満 | 7.5t未満 | 11t未満 | 11t以上 |
最大積載量 | 2t未満 | 4.5t未満 | 6.5t未満 | 6.5t以上 |
上表より、改正時期以降に普通免許を取得した人は、最大積載量2トン未満のキャリアカーしか運転できないことが分かります。
残念なことに、1台積のローダーでさえ最大積載量は2t超です。さらには、自動車を積載する都合上、荷台には鉄製のスライド装置や稼働機構が搭載されるので、車両総重量は3.5t以上になります。よって、今から普通免許を取得しても運転できるキャリアカーはほぼ無いと言って良いでしょう。
現行制度の普通免許保有者が、積載車に近い使い方をしようとしても、軽トラックにバイクを積んで運ぶ程度しかできません。


キャリアカーの運転に必要な免許の取得方法について詳しく解説
普通免許の取得方法
普通免許を取得するには3つの方法があります。
- 教習所に通う方法
- 免許合宿に参加する方法
- 運転免許試験場で取得する方法(一発試験)
教習所と免許合宿で教習の中身に違いはなく、MTの場合、26時限の学科教習と34時限の技能教習です。仮免許取得後は路上教習へと進み、卒業検定に合格後、運転免許試験場で学科試験と適性試験をパスすれば取得できます。
普通免許取得に必要な期間と費用は、教習所の場合で約1ヶ月、30万円ほど、免許合宿の場合は、最短16日で約25万円です。
一発試験で取る場合でも、仮免許試験と5日間の路上練習、本免許試験が必要なので最低でも7日、費用は26,300円(東京都)です。
今の普通免許でキャリアカーの運転はできませんが、上位免許の取得に必要な運転経歴の確保には有効です。

準中型免許の取得方法
キャリアカーの運転に最低限必要となる準中型免許は、普通免許と同様に18歳以上から取得できます。準中型免許の取得方法は、教習所はもちろん、免許合宿も選択可能です。
準中型免許の学科教習は、普通免許より1時間多い27時限、技能教習は4時間多い41時限です。すでに普通免許を持っていれば学科教習が1時限に、技能教習が13時限に短縮されます。
準中型免許以上の免許には、一般の視力検査だけでなく、奥行き感覚を問う深視力検査が加わります。
普通免許の未保有者が準中型免許を取得するために必要な期間は約2ヶ月、費用は約35万円、普通免許があれば15万円です。5t限定免許の限定解除は、4時限の技能教習と適性検査のみで準中型免許に切り替わります。

中型免許の取得方法
キャリアカーのうち、ローダーと3台積までの単車が運転できる中型免許の取得年齢は20歳以上です。これに加えて2年以上の運転経歴も必要です。
運転経歴として認められる免許は、普通免許、準中型免許、大型特殊免許です。つまり、中型免許以上になると、無免許では挑戦すらできません。したがって最低でも普通免許は早めに取得しておきましょう。
中型免許の取得方法は、教習所や合宿で取るパターンが一般的です。MT普通免許があれば技能は15時限で学科は1時限です。
中型免許の取得に必要な期間は、普通免許保有者で最短8日、費用は約18万円です。免許制度変更前に普通免許を取得していた人なら、これより費用は安く済みます。現有免許が5t限定なら約15万円、8t限定だと約10万円です。

大型免許の取得方法
大型免許があればキャリアカーの仕事幅が広がります。ローダーと単車の全てが運転可能です。
大型免許の取得年齢は21歳以上で、かつ3年以上の運転経歴が必要です。逆算すると、21歳で大型免許を取得するには、18歳時点で他の四輪免許をすでに取得していることが前提です。
大型免許の取得方法は、まず教習所探しが困難です。免許制度改正に伴う、大型用練習車両の規格変更(大型化)が一因です。従来の練習車両が使えなくなった教習所は、新たな出費を避けて大型免許コース自体を廃止する傾向があり、教習箇所が減少しています。
合宿免許で集中して取ることが多い大型免許の取得期間は、8t限定免許で10日間、費用は23万円ほどかかります。普通免許保有者の場合は技能教習が増えるため、最短でも14日かかります。

牽引免許の取得方法
牽引免許は、トレーラーのキャリアカーを運転するために必要な免許です。牽引免許の取得年齢は18歳以上なので大型免許よりも先に取得できますが、他の四輪免許を取得していることが条件です。奥行きの長い連結車両を操縦するための免許であるため、牽引免許の適正検査には深視力検査も含まれます。
牽引免許も、他の免許と同様に教習所や免許合宿で取得する方法が基本です。牽引に関する技術を習得する免許なので、学科教習は無く、12時限の技能教習のみです。
牽引免許は、免許合宿で大型免許など他の運転免許と合わせて取得する人が多いですが、牽引免許だけの取得にかかる期間は最短で約1週間です。合宿費用は、普通免許保有者で約12万円です。教習所での取得は中型免許の保有者なら約15万円です。

キャリアカーを扱う上で必要となる運転免許以外の免許/資格はあるの?
小型移動式クレーンの免許
吊り上げ荷重1トン以上5トン未満のクレーンを小型移動式クレーンと呼びます。
操作業務に必要となる免許が小型移動式クレーン運転技能講習の修了証です。吊り上げ荷重5トン以上のクレーン操作には、移動式クレーン運転士の免許が必要ですが、キャリアカーの架装オプションとして搭載できるクレーンは車種によらず2.9トンなので、小型移動式クレーン免許があれば十分です。
小型移動式クレーン運転技能講習修了証の取得方法は、全国の建機メーカーの教習所等で実施される学科13時間(+学科試験1時間)と実技7時間の受講、そして修了試験の合格です。取得にかかる期間は3日、費用は約3万円です。
巻き上げウィンチ資格
キャリアカーへ自動車を搭載するときは、基本的に自走させますが、事故などで自走不能になった車両を積載する時に活躍するのが巻き上げ機(ウインチ)です。
修理業者が保有するローダーやレッカー車にはウインチが欠かせませんが、その性能や大小を問わずウインチの操作に必要な免許が、巻上げ機運転特別教育の修了証です。
ウインチ特別教育とも呼ばれる巻上げ機運転特別教育の取得方法は、当記事中で紹介した各種免許の中で最も手軽です。6時間の学科と4時間の実技教育からなり、取得期間は2日程度、費用は約1万円です。特別教育の講習会は、都道府県指定の教習期間で実施されます。

キャリアカーと免許に関するQ&A
キャリアカーは普通免許でも運転できるの?
現行の普通免許ではキャリアカーは運転できないと言えます。最も小さいローダーでも最大積載量が2t以上あり、普通免許の区分を超過するからです。さらにキャリアカーは、鉄製のスライド機構や丈夫な構造部材を持つので同型のトラックより重いです。
ですから、仮に最大積載量が2t未満のローダーが存在しても、その車両総重量は普通免許の基準を超えているでしょう。
MT普通免許があれば輸送会社の応募基準は満たしますが、優遇される大型免許の保有者と比べると不利です。
未経験でもキャリアカードライバーになれるの?
運送会社の多くは、若い世代を中心に慢性的なドライバー不足を抱えているので、人材獲得に積極的です。
特にキャリアカーは、自動車という特殊な荷物を運ぶ仕事なので、未経験で当たり前です。前職がトラック運転手なら歓迎ですし、仮にトラックの運転未経験者でも、社会人としての基本と普通免許があれば、特別不利な状況にはなりません。
会社が新人教育として段階を踏んでドライバーとしての基本から教えてくれます。慣れるまでは横乗りで先輩の運転を見ながら習得していけば大丈夫です。

免許や資格がなくてもキャリアカードライバーになれるの?
特別な免許や資格がなくてもキャリアカーの運転手になれます。最低限必要な免許はマニュアルの普通免許のみです。
ただし大型免許を必要とする大型キャリアカーの求人に応募するには、中型免許以上を取得しておくと、選考で不利にならずに済むでしょう。
会社独自の資格取得支援制度を活用すれば、上位免許の取得における費用面での心配は無用です。雇用保険を原資とした一般教育訓練給付金制度もあります。必要な免許や資格は入社後に取得できますし、研修や支援も整っているのです。
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