トレーラーの運転が難しくて大変な理由
トレーラーは長い荷台をけん引されて走る姿がかっこいいのですが、運転はとても難しいとされています。その理由をまとめると下記の3つがあります。
まず、トレーラーは車体が大きくその振れ幅まで考慮しなければなりません。トレーラーは後輪から後端部までの距離すなわちオーバーハングが長いので、普通の右左折でもお尻が出やすくなり(ケツ振り)、他の車両との接触や物損事故が起こりやすいのです。
次に、トレーラーは連結部を持つので運転感覚が狂いやすい点があります。特にバックをするときはハンドル操作とトレーラーの向きが逆になります。まるでヘッド全体がトレーラーの前輪となって動くようなイメージになります。これについては後述します。
最後に、トレーラーは運転席の視点が高く死角が増えやすい点です。高い位置に運転席があると見通しが良くなり長時間の運転でも疲れにくいというメリットはありますが、左右や後部、そして運転席の真ん前などに死角が増えるので細心の注意を払わなくてはいけません。
トレーラーの運転手がすごいといわれる理由
トレーラードライバーは他のトラック乗りからも、『トレーラー運転手はすごい』とか『いつかはトレーラーを運転してみたい』という声が上がるほど花型的な職業です。この理由としては、前述した運転技術が難しい点に加えて、けん引免許の取得が必要になるというハードルの高さが挙げられます。
思いのままにトレーラーを操れるようになるまでには大変な努力と年月の積み重ねが必要になります。だからこそ一人前のトレーラードライバーになると尊敬されるのです。
トレーラーの運転の直進・右左折の難しいポイント
トレーラーの直進の難しいポイント
直進時にも気を抜けないのがトレーラー運転の難しいところです。路面の凹凸を拾ったり強いブレーキを踏んだりするとトレーラーのバランスを崩すこともありますし、雨や雪などで濡れた状況だとブレーキの制動距離が長くなります。これらの現象が重なると、追突や横転事故の引き金となってしまいます。
よってトレーラーを運転するときは十分な車間距離をあけて、速度を出し過ぎないように注意して走行することがポイントです。
トレーラーの右折の難しいポイント
右折時は早めにウインカーを出して右折レーンに入りましょう。その際に行う車線変更を含めてですが、右側方の安全をサイドミラーでよく確認してください。そして対向車にも注意です。特に夜間の運転は相手車両との距離感を目測するのが難しいです。
トレーラーで右折する時のポイントは、オーバーハングを考慮してやや大きめに回ることです。このときに急ブレーキを踏むとタイヤがロックして横転事故にも繋がりますので、交差点に入る前に十分減速をしておいてください。
トレーラーの左折の難しいポイント
トレーラーの左折は難しい運転技術の一つです。特にヘッド(トラクター)でトレーラーをけん引するセミトレーラーの場合は内輪差が大型トラックよりも大きく、巻き込み事故も多いです。
左折する交差点の手前から十分に減速しておき、サイドミラーや目視で左側からすり抜けていくバイクや自転車がないかを確認します。真横の状況を見るには助手席のドアについている安全窓を使うと良いでしょう。
カーブでハンドルを切るポイントは、運転席が交差点内に入ってからのタイミングで丁度です。一般車よりも切り始めを遅らすのは、内輪差で後輪が縁石に乗り上げるのを防ぐためです。かといってタイミングを遅らせすぎると左折方向の反対車線に居る車と接触してしまうので、繰り返しの練習が必要です。
トレーラーの左折が右折より難しい理由
以上のポイントを踏まえ、トレーラーの運転で左折が右折よりも難しい理由としては、ハンドルを切り始めるタイミングがつかみにくい点、運転席でミラーや目視を使った安全確認がしづらい点、内輪差を意識しなければならない点などが挙げられます。
トレーラーの方向転換は難しい
基本的に方向転換を行うときは右バックか左バックを伴いますが、トレーラーの場合はこの時のハンドル操作がとても難しいので一苦労します。
例えばハンドルを左に切ってバックするとヘッドのお尻は左に向きますがトレーラーは右に向こうとします。つまり普通車でバックするときと逆の動きをトレーラーがするので混乱する人が多いのです。
加えて視界の悪さもあります。右バックはイン側の角が目視できますが、左バックはインの角をドアミラーですら確認できません。トレーラーが折れてくると更に視野が狭くなり、感覚に頼った運転が求められます。このため、方向転換をするときに右バックと左バックのどちらも使える状況であれば、右バックを選択するドライバーが多いです。
トレーラーのすごい運転手はバックの技術が高い
トレーラーのバックのコツ
トレーラーの運転技術で最も難しいとされるバックのコツと手順について説明します。
目視ができる右バックでの車庫入れのケースです。
- 周囲の状況確認
車両や歩行者に注意するのはもちろんですが、トレーラーは車高があるので、標識や看板、軒先などに接触することもあります。
- ハンドルを少し左に切ってバックし、トレーラーを右に折っておく
ハンドルの切る方向とトレーラーの向きは反対になるので、トレーラーの折れ角を右向きにするにはハンドルを左に切ると覚えておいてください。
- トレーラーが右に折れたらハンドルを戻してさらにバックする
一度『くの字』に折れ角がついたトレーラーは真後ろに押していくだけで徐々に折れていきます。軽くハンドル調整をしながらトレーラーの後輪が角の近くを通るようにバックします。
- トレーラーが車庫に収まったらハンドルを右に切ってヘッド(トラクター)を起こす
ヘッドを起こす際はついハンドルを左に切りたくなりますが、ここも逆になります。右に切ると伸びていきます。
途中で折れ角が付きすぎたと感じたら一度前進して連結部を伸ばしてやり直すと良いです。
補足ですが、後部の死角を少しでも減らせるよう、バックカメラを設置してモニターで確認できるようにしておくと便利です。
トレーラーのバックの注意点
トレーラーでバックをする時は、あらかじめ運転席側の窓を全開にしておきましょう。顔を出して目視で後方確認をすることで少しでも死角を減らせるからです。
左バック時はイン側の角は見えませんが、右側の状況を直接確認できます。
トレーラーのバック練習方法
かっこいいトレーラー運転手になるには、色々な方法でバックの操作感覚を叩き込むことが大切です。広くて安全な練習場などを見つけて直進バックの練習から始めてみましょう。上手な人の助手席に乗らせてもらい、運転操作を見て学ぶと効果的です。PCのシミュレーターやアプリを使って動きを確認するのも手軽でおすすめです。
トレーラーの運転手が注意しておくべきこと
トレーラーを運転するドライバーが把握しておきたい、トレーラー特有の走行時の挙動にまつわる現象について、代表的なものを3つ紹介します。
まず、ジャックナイフ現象とは、急ブレーキをかけたときにヘッドの後輪がロックしてしまい、トレーラーの慣性力で押されて強くVの字に折れ曲がってしまうことです。
つぎに、ロック現象(トレーラースイング現象)とは、トレーラー側のブレーキがロックすることで制御を失いトレーラーが遠心力で大きく振られてしまうことです。
最後にスネーキング現象とは、走行中にトレーラーが左右に揺れるような動きをすることです。スピードの出しすぎ、荷重バランスの片寄り、路面のうねりなどが原因です。
トレーラーの運転手になるためには
トレーラーの運転手に必要な免許・資格
セミトレーラーの運転には基本的に大型免許が必要です。これはトラクター(牽引車)のみで運転するときも必要な免許です。21歳以上で他の自動車免許を取得して3年以上経過していれば受験資格があります。
厳密に言えば中型免許でも運転できるトラクターはありますが、トレーラードライバーとして働くなら、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の車両を運転できる大型免許を取得しておかないと、運転できる車両がごく限られてしまいますので注意してください。
そして、牽引免許が750kgを超える車両をけん引するのに必要な免許となります。受験資格は18歳以上です。
トレーラーは日常的にトン単位の貨物をけん引して走行することになるので、この免許もトレーラー運転手になるには必須の免許です。
なお教育訓練給付制度を利用すると、大型免許や牽引免許の取得にかかった費用のうち、最大20%が給付されます。これは雇用保険の制度改革で生まれたキャリアアップ支援の一環です。雇用保険の被保険者として在職中もしくは雇用された経歴がある人は申請してみましょう。
けん引免許の取得にかかる費用と時間
トレーラードライバーに欠かせない牽引免許を取得するには、3つの選択肢があります。
費用(概算) | 取得までの期間 | |
一般の自動車教習所に通う | 15万円 | 数週間~数ヶ月 |
免許合宿に参加する(宿泊費込み) | 12万円 | 最短6日 |
運転免許試験場で一発試験を受ける | 7,000円 | 即日 |
一発試験は試験代のみで済みますが、教習所に通えばクセのあるけん引車の動きをしっかり学べるメリットがあります。
トレーラーの運転手に必要な経験
トレーラードライバーの仕事をするなら経験のある人が有利なのはもちろんですが、大型トラックに乗っていてトレーラーは未経験の人でも挑戦できます。実際に転職後にけん引免許を取得して念願のトレーラー乗りになる人も多いです。
一方、トラックに乗ったことのない人は、いきなりトレーラーを目指すよりも、まずは大型免許を取得して大型トラックの仕事を経験してからステップアップしたほうが無理なく運転技術を磨くことができるでしょう。
トレーラーの運転手に向いている人
長時間の運転ができる体力がある人、交通状況に気を配り長大な車両を事故なく操れる集中力のある人がトレーラードライバーに向いていると言えるでしょう。加えてトレーラーが好きという情熱もあれば、辛いことも乗り越えられます。
トレーラーの運転はかっこいい、でも人材不足
トレーラー運転手はトラックドライバーの花型と言われ、かっこいいトレーラーを運転したいと夢見たことのある人は多いのですが、慢性化している人材不足と高齢化が避けて通れない課題となっているのがこの業界です。ただし、逆に言えばそれはトレーラードライバーになるチャンスともいえます。
こうした背景には少子化で若い世代が減っていることもありますが、なにより物流ドライバーの長時間労働問題や、平均賃金の伸びが他産業と比べて長年抑えられてきたことが大きな要因としてあります。
ただし最近ではトラック業界の意識改革も進み、過剰勤務を減らしたり残業代を適切に支払うなどコンプライアンス強化に取り組む会社が増えています。その上で若い世代や未経験のドライバーを積極的に採用して、育てあげる風土が根付きつつあります。
これからトレーラーの仕事を始めたい人に追い風となるでしょう。
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