フルトレーラーとは
フルトレーラーとは自重をタイヤで支えられる構造になっている大型の被けん引車両のことです。原動機は持たないので、けん引車両であるフルトラクターに引かれて走ることになります。
セミトレーラーよりも全長規制が緩く、連結した長さは21mまで認められています。
続いて2種類のフルトレーラーの様式についてみていきます。
ドリー式フルトレーラー
ドリー式は前軸にもタイヤがついているタイプで、ターンテーブルで進行方向に向きを変えられたり、脱着可能なものもあります。
車軸が前後にあるので積載時のバランスが良いところがメリットです。
連結は簡単に切り離せる丈夫で簡素な作りになっていて、ドローバー(連結棒)の先にあるリング状のドローバーアイ(ルネットアイ)をトラクタの後尾に付いているピントルフックに引っ掛けて行います。
センターアクスル式フルトレーラー
中央に2つの車軸がまとめられているタイプです。連結はドローバーアイをベルマウス型連結器のカップリングボルトに差し込んで行います。
ダブル連結トラックとは
ダブル連結トラックは物流効率の改善を目的に、これまでの21m制限を緩和して大型トラック2台分の輸送を可能にした全長25m近くもあるフルトレーラーの呼称です。
令和元年8月からは通行経路が東北から九州までの自動車道に拡大されました。
フルトレーラーの運転が難しい理由
トレーラーの車体が長い
荷台を2つ持つフルトレーラーの連結全長はセミトレーラーよりも数m規模で長くなります。
これによって後方視界はさらに狭く死角が増えますし、ドアミラーでの確認も難しいです。牽引による動きも複雑になります。
トレーラーは直進バックができない
トレーラーの直進バックの運転が難しいのは、ハンドルを固定していても結合部分のカプラーを境に自然と折れる方向に流れていくからです。
このため極めてゆっくりな速度で慎重に何度も修正舵を切らなくてはなりません。
ドリー式のフルトレーラーは連結点が2箇所
フルトレーラーの挙動が複雑になって運転が難しくなる主な理由は連結点の数です。
特にドリー式の連結部はピントルフックとルネットアイとの間、そしてカプラーとキングピンと間の2箇所もある上に、それぞれが一定の自由度を持って動くので、後退時に車両後方を任意の場所に持っていくというのは至難の業です。
加えて2か所の連結点を通じてターンテーブルになっている前軸ごと向きを変えようとします。
この軸のおかげで荷重分散されるので重量物の運搬に強いというメリットはあるものの、タイヤだけが向きを変えられる普通自動車のナックル式と比べるとどうしても追従性が劣ります。走行安定性が低くなってしまう点も運転が難しく感じられる原因です。
対してセンターアクスル式は、ドローバーの付け根が固定されているため、折れる箇所が1つとなり、セミトレーラーと近い感覚で運転できるというメリットがあります。
バックをするときには向けたい方向と逆にハンドルを切れば良いのです。
つまり運転難易度はドリー式のほうが高いといえます。
ジャックナイフ現象やスネーキング運動が起きやすい
トレーラー独特の動きが引き起こす危険現象はフルトレーラーにも発生します。連結部が激しく『くの字』に折れ曲がるジャックナイフ現象、左右にうねるように揺さぶられるスネーキング運動などが代表例です。
ジャックナイフ現象が起こりやすいのは2か所で連結されている金具の『遊び』の部分が多く、屈曲しやすいからです。
そして、スネーキング運動が発生しやすいのは連結部を中心に振り子のようにお尻を振られやすくなるからです。
一旦症状が出ると体勢の立て直しが困難なので、強いブレーキや飛ばし過ぎには気をつけましょう。
フルトレーラーは車体が長いと内輪差が大きい
内輪差とは前輪と後輪が通った軌道の差のことで、その大きさは軸距(ホイールベース)の長さに比例します。
つまり軸距が長くなるほどトラックの内輪差が大きくなるのですが、複数の荷台を連結することを前提に設計されているフルトレーラーは、運転のしやすさを考慮してセミトレーラーより短めに作られています。応じて軸距も短くなるので、内輪差が小さくなるのです。
ただしフルトレーラーのサイズは規制緩和で長くなりつつあります。より多くの荷物を積んで輸送効率をさらにアップさせ、ドライバー不足を補おうとする意図があるからです。
2013年には全長19mだったのが21mに緩和され、2018年には一部区間に限り25mまで認める措置が本格導入されました。
これによってセミトレーラ2台を連結したような車両で走行することになるため、おのずと内輪差は大きくなってしまうのです。
フルトレーラーの直進バックのコツ
フルトレーラーのバックを思いどおりに行うことは極めて困難で、ベテラン運転手でもそれを理由に乗務を嫌がるほどです。
特別な装置を用いずに直進バックを行うには、連結部を1つにするしかありません。つまり連結部が2ヶ所あるドリー式ならばターンテーブル側の回転動作を固定させることがコツです。
連結部が1ヶ所になれば、あとはセミトレーラーでの直進バックと同じ動作になります。例えば右にブレ出したらハンドルを右に、左にブレ出したら左といった具合です。
ハンドルは切りすぎず、かつ小刻みに行い、ブレが小さなうちにカウンターを当てることもポイントです。
たとえ連結部を1ヶ所にしてみてもフルトレーラーの直進バックは難しいと感じる人が多いです。なぜなら連結部が運転席から離れたところにあるため、ハンドル操作が実際の向きに反映されるまでにタイムラグが発生するからです。このことも頭に入れておきましょう。
フルトレーラーの車庫入れのコツ
フルトレーラーの直進バックができるようになったら、次は車庫入れの練習になります。
まず第一にやることは安全に練習するための場所選びです。公道で練習すると車両の通行の妨げになり大変危険なので避けるようにしましょう。
広々したコースが自慢の自動車教習所内や物流会社の空いた駐車場スペース、もしくは私有地を借りるなどしてできるだけ広い敷地を確保してください。
次に周囲の安全確認です。人が出入りするような場所でないか、障害物などに接触する恐れがないかなどを慎重にチェックしてください。見張りを兼ねた助手が付き合ってくれるとベストです。
練習に使う車両はできれば連結部が1つのセンターアクスル式がおすすめですが、ドーリー式であれば前述のとおりターンテーブルを固定して行うと扱いやすくなります。
連結部を1つにすれば、車庫入れのコツはセミトレーラーと同じです。まず『くの字』に折ってから後ろに押していき、ある程度角度がついたらそのまま一定になるようバックを続けます。
イン側の角と接触しないよう注意しながらドアミラーで角度を見つつ、ハンドルの切る方向を調整していきます。
フルトレーラーのバックの練習方法
教習所や会社の敷地で練習する
バックの一番良い練習方法は先輩ドライバーに誘導してもらったり、腕に自信のあるベテラン運転手に教わることです。最初は助手席でハンドルさばきを見学しましょう。
これはいわゆる『横乗り教習』と呼ばれるもので、フルトレーラー歴が浅い人に対して運送会社が実施してくれることが多いです。横乗りに慣れたらあとは繰り返し地道に練習を重ねるのみです。
アプリやミニカーと使ったり動画を視聴して車両の動き方を覚える
アプリやミニカーを使うと俯瞰(ふかん)視点で動きを確認できるのでおすすめです。教習所などと違って、好きな時間に楽しみながら安全に練習できるという点が魅力です。
特にフルトレーラーは実車を使って練習できる機会が限られますので、疑似体験を通じて頭の中でバックのハンドルさばきのシミュレーションをする時間も大切です。
またyoutubeなどでもトレーラーバックの動画はたくさんアップされているため、参考にしてみてください。
ドリー式フルトレーラーのバックは難しい
センターアクスル式と比べてバックが難しいドリー式ですが、この原因は連結部分が2か所もあるからです。まるで2つの関節が同時に動くような挙動をするため、同じハンドル操作でも路面状況によって動きが変わるくらい難しいのです。
バックでの駐車が極めて困難なフルトレーラーの短所を補うために、アシスト機能がついた操縦装置が開発されています。ターンテーブルを油圧制御し、運転席でリモコンを使って車軸を任意の角度に回転できるというものです。
このアシスト機能を使うと、思い通りの折れ角に曲げられるので90度の方向転換も可能になります。
さらにこの油圧制御をダンパーとして活用することで回転ロックが効くので、走行安定性も向上するという優れものです。
このような制御装置を導入すれば、フルトレーラーを使ったバック駐車のコツが掴みやすくなるので、活躍の場がさらに広がっていくでしょう。
バックモニターやサイドカメラがあると便利
フルトレーラーは荷台後方部が運転席よりずっと後ろにあるため、ドアミラーでも確認が難しいです。特に目視が効かない左バックの場合はコーナーが見えないので、ほぼ感覚に頼ることになってしまいます。
安全にバックするためのコツとしては死角を少しでも減らすことです。バックカメラやサイドカメラをつけて運転席に設置したモニターで確認できるようにすれば、後方や側面の安全確認がしやすくなります。現行機種には標準装備されている場合が多いです。
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