トラガールとは
トラガールとはトラックとガールを組み合わせた造語で、女性のトラックドライバーを指す言葉です。
慢性的な人手不足が続くトラックドライバーの人員不足を解消するために国土交通省がトラガール促進プロジェクトを展開するなど、最近では運輸業界で活躍する女性、トラガールがどんどん増えています。

トラガールの現状
平成30年の全国の輸送・機械運転従事者の人数は約86万人ですが、その内トラガールは2万人と、全体の2.3%ほどしかいません。これは全産業の女性割合44.2%と比較すると著しく低い数字になっており、トラック運送業界への女性進出はまだまだ遅れていると言えます。
しかし近年は、丁寧な運転や高いコミュニケーション能力というトラガールならではの能力を取り入れるべく、様々な取り組みを行って女性ドライバー数を増加させ、女性進出の遅れを取り戻そうとしています。
以前は女性であることのみを理由に就職を断られたり、配送先などに女性用トイレが整備されていないといった声が上がっていましたが、最近では雇用事業者それぞれが、女性の正社員採用や女性トイレの整備、子供にあわせた出勤退勤時間などに取り組み、働きやすく正当な評価を得られるような環境になっています。

国土交通省のトラガール促進プロジェクトとは
トラガール促進プロジェクトとは、国土交通省が2014年から行っている、女性ドライバーの活躍推進のための積極的な情報発信や経営者に対する働きかけのことです。
国土交通省自動車局のホームページに立ち上げられた、トラガール促進プロジェクトサイトでは、運転免許の種別ごとの取得方法や、採用活動に関るイベント情報などを紹介し、全国の現役女性ドライバーの声や関係者からの応援メッセージを掲載しています。
また2015年に成立した『女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、女性活躍推進法』に沿って取り組み、女性活躍の数値目標を達成した事業主には助成金が支給されます。
この助成金は、女性用トイレ、更衣室、シャワー室の設置など、女性が働きやすい環境の整備に活用することができ、国土交通省のトラガール促進プロジェクトを後押しする重要なものとなっています。
インターネット通販の普及によりトラガールの需要が増加している
昨今ではインターネット通販の普及に伴い、運送を担うトラックドライバーの需要が増加しました。しかし全産業の有効求人倍率1.45に対し、トラック運転手の有効求人倍率はおよそ2倍の2.84となっているなど、需要に比べてまだまだトラック運転手へのなり手が少なく、深刻な人手不足に陥っています。
そこで、その人手不足を解消するために、女性トラック運転手、トラガールへ目が向けられ、現在需要が大きく増加しています。トラック業界も女性ドライバーに注目したメディアなどを作っています。
企業側もトラガールを歓迎している
トラガールを歓迎しているのは、トラガール促進プロジェクトに取り組んでいる国土交通省だけではありません。トラガールの採用は企業にとっても、人材不足の解消や助成金の支給だけでなく、女性ならではの細やかな心配りなど、高いコミュニケーション能力による新規荷主獲得に繋がることです。
また男性の職場というイメージが強く、実際に女性ドライバーがほとんどいない運送業界において、女性が活躍していることは、先進的な企業であるなどのイメージアップにもなります。したがって企業側もトラガール採用を歓迎しています。
トラガールに来てもらえるよう、女性用トイレや更衣室を設置するなど、女性が安心感を持って働ける環境づくりを積極的に行う企業も多いです。
男性と比較したトラガールの年収/給料
男性トラックドライバーとトラガールの年収は、それぞれの平均で比べると60万円ほどトラガールの年収の方が低いです。
トラックの種類 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
ドライバー平均 | 443.6万円 | 383.8万円 |
けん引トラック運転者 | 518.0万円 | 439.6万円 |
大型トラック運転者 | 465.1万円 | 414.5万円 |
中型トラック運転者 | 389.2万円 | 366.4万円 |
準中型トラック運転者 | 380.0万円 | 354.0万円 |
普通トラック運転者 | 383.8万円 | 342.1万円 |
トラガールの年収が低い理由としては、平均勤続年数が男性12年であるのに対し女性が7年であることや、出産や育児などで時短勤務する人が女性に多いこと、多く稼げる長距離運転者に男性が多く、近隣を配送する配送ドライバーに女性が多いことなどがあります。
トラガールの福利厚生
出産休暇や育児休暇を含むトラガールの福利厚生は、企業によって大きく異なります。
トラガールに働き続けてもらうためにしていることで、育児休業、短時間勤務など働きやすい勤務体系を挙げた事業者は、約25%しかありません。また、トラガールが職場に定着しない事業者の内、トラガールに働き続けてもらうためにしていることは特にない、と答えた事業者は50%を越えています。
運送事業者の中には、男性ばかりの職場であったために、出産休暇や育児休暇などの福利厚生がない企業もあります。企業を選ぶ際には、福利厚生がしっかりしている企業を選ぶことが大切です。
トラガールはきつい?トラガールが抱える主な不満
トイレや着替える場所の不足
運送事業者の多くにはこれまで女性がいなかったため、事務所や納品先にトイレや更衣室がないことがあります。
トラガールの定着率が悪い事業者の内で、女性専用トイレなど職場環境の整備をしていないと答えた事業者は、90%以上もおり、トイレなどの職場環境が改善されていないことは、トラガールにとって離職に値する不満であると言えます。
また運搬中のトイレも不足気味で、毎回コンビニで借りたり、綺麗でない公衆トイレを使わなければならなかったりすることも、女性にとってはきついと感じる原因です。
子育てとの両立
トラガールがきついと感じる主な不満として、子育てとの両立があります。トラックドライバーは拘束時間が長く肉体的にも過酷な仕事です。そのため帰宅する頃にはヘトヘトで、子育てへの参加が難しいことがあります。
女性ドライバー定着のため、業務分担や軽負担化、業務内容の見直しや改善などの労働環境改善を行っていますが、柔軟な休暇取得や育児休暇なども含め、企業によっては、まだまだトラガールの子育て参加がきついことが多いです。
トラガールの環境は改善されている
2014年のトラガール促進プロジェクトから、トラガールの雇用を促進するため、労働環境は改善されつつあります。それぞれの企業で差はありますが、出産休暇や育児休暇の導入、柔軟な休暇取得に関する対応などを進め、トラガールには軽い荷物を回し力仕事を少なくする軽負担化など、業務内容の見直しや改善も行っています。
またトラガールを採用することで、社内のコミュニケーションの円滑化や質の高い配達など、大きなメリットが得られます。
さらに、トラガールを雇用している事業者の内、雇用をさらに増加させたいという意見が全体の8割を越えているため、今後労働環境がさらに改善され、働きやすくなる可能性もあります。
女性におすすめのドライバー職
バスの運転手
バスの運転手には、トラックドライバーと違って荷物の積み下ろしがありません。その分、体力的に楽なバスの運転手はトラガールにおすすめのドライバー職です。特に路線バスなどは運行時間がしっかり決まっているので、残業が少なく、育児やプライベートの時間もとりやすくなっています。
しかしバスの運転手になるために必要な資格として大型二種免許があります。大型一種免許ではお客様を乗せて運転することはできないため、注意が必要です。
タクシーの運転手
トラガールにおすすめのドライバー職としてタクシーの運転手も挙げられます。男性に比べて女性はコミュニケーション能力が高く、楽しむことが可能です。そのためタクシー運転手に求められるお客様とのコミュニケーションを上手くとれる可能性があります。またタクシー運転手は、勤務時間に自由が効く場合があり、プライベートや子育てなどと両立しやすいです。
ただしタクシー運転手には二種免許の資格が必要です。普通運転免許ではお客様を乗せて運転することはできません。

宅配トラックの運転手
トラガールは男性よりもコミュニケーション能力が高く、質の高い丁寧な配達ができることが多いために、宅配トラックなど配達時に顧客と関る仕事では良い評価を得られる可能性があります。また宅配トラックにはシフト制の勤務や短時間の勤務など、様々な働き方があるため、生活に合わせた仕事を探せます。
そして必要な資格は、運転するトラックにもよりますが、普通免許のみの場合があるため、比較的就きやすいドライバー職であることも、おすすめの理由の一つです。

トラガールが企業を選ぶ際のポイント
「女性ドライバー歓迎」の求人を選ぶ
女性ドライバー歓迎と記載がある求人を選ぶことが、トラガールが企業を選ぶ際のポイントになります。運送業界は男性職場であり、従業員もほとんが男性で、トラガールは全体の2.3%ほどしかいません。そのため、女性ドライバー歓迎と記載がない場合は、女性を受け入れる職場環境になっていない可能性があります。


福利厚生についてチェックする
女性が働くにあたって福利厚生は非常に大切です。整っていない場合、子育て参加の難しさなどから、勤め先を辞めなければいけなくなることもあります。トラガール促進プロジェクトなどに取り組んでいるものの、運送業界はほとんどが男性であり、出産休暇や育児休暇が整っている企業が多くないので、複利厚生をチェックせずに入社することは避けた方が賢明です。
勤務形態に注目する
トラガールの勤務形態には、早朝や夜間に働くものもあります。働く時間が合わないと、肌が荒れたり生理不順を起こしたりするなど、女性にとっては嫌な体調不良が起こるため、勤務形態も企業を選ぶ際の重要なポイントです。
女性に配慮された設備をもつ会社を選ぶ
運送業界の中には、女性トイレなど環境設備を整備していない企業も多いです。そういった設備を整備する努力をしていない企業は、トラガールの定着率も必然的に悪くなっています。女性に配慮された設備をもつ会社を選ぶことも、トラガールを必要としている企業を選ぶ大切なポイントとなっています。
業績のいい会社を選ぶ
トラガールが企業を選ぶ際のポイントとして業績のいい会社を選ぶことも非常に重要です。給料や待遇が良いことはもちろん、女性を受け入れるにあたって、それぞれの企業は、公平な評価制度、勤務時間の配慮や学校行事への参加など、様々な工夫をしていますが、業績のいい会社の方が様々な工夫をしている可能性が高いです。

求人の頻度が高すぎる会社には要注意!
求人の頻度が高いと、頻繁に従業員が退職している可能性があります。入社してもすぐに辞めてしまう人が多い場合、過酷すぎる仕事であったり、人間関係や待遇に問題があったりする、ブラック企業かもしれません。
体や心を壊す恐れがあるため、そういった求人にはトラガール歓迎、女性歓迎と記載されていても、応募しないよう気をつける必要があります。
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