タンクローリーとは
タンクローリーとは主に液体を運搬することに特化した車両です。荷台部分には最大30,000Lの大きな楕円形のタンクが設置されており、内部に荷物を積み込んで輸送することができます。ガソリンや牛乳、水などさまざまな液体の荷物を運ぶために利用されているほか、高圧ガスや粉セメント、小麦粉などを運搬するための専用車両もあります。
タンクローリーは小型・中型・大型の車両がありますが、中でももっとも広く利用されているのは大型車両です。そのため、タンクローリー運転手になるには大型免許を取得する必要があります。
タンクローリー運転手の主な仕事内容
タンクローリー運転手の主な仕事内容は、顧客に指定された場所へガソリンなどのタンクに入った荷物を運搬することです。
荷積み場所でタンクローリーに荷物を積み込み、荷下ろし場所まで車両を運転して荷物を届けます。荷下ろし場所は県内や近隣の都道府県など比較的近い場所であることが多いですが、運ぶ荷物の種類や配送先によっては長距離輸送を行うこともあります。
タンクローリーの荷積みと荷下ろし
タンクローリーで運搬する荷物は液体であることが多く、運転手はパイプやホースを利用して荷積みと荷下ろしの仕事を行います。タンクローリーの内部は最大4,000Lのいくつかの室に分かれており、それぞれ異なる荷物を積み込むことができます。
- 荷積みの際には車両上部のマンホールを開けて積込用パイプを設置し、荷物を流し込みます。
- 荷下ろしの際は、車両の左右および後方にある吐出口と納入先の荷下ろし口とをホースで接続して放出させます。
荷積み・荷下ろしともに、中身が流出することのないようコックやバルブをしっかり確認することが大切です。
タンクローリー運転手の具体的な仕事の種類
粉粒体運搬車ローリー
粉粒体運搬車ローリーは粉末状や砂状の物質を運搬するための車両です。積載物はさまざまで、粉セメントや石灰といった鉱産物からポリ塩化ビニルなど各種化学物質の樹脂ペレットまで幅広い荷物を取り扱います。
粉粒体運搬車ローリーに乗務するタンクローリー運転手は工場で製造された荷物を顧客のもとへ届けるのが仕事となります。
農家へ飼料を届ける飼料運搬車も粉粒体運搬車ローリーの一種です。
危険物ローリー
危険物ローリーは石油や劇薬など消防法上の危険物に該当する物質を運搬するための車両です。
仕事ではガソリンや灯油、軽油といった積載物を取り扱うことが多く、運転手は油槽所や製油所から各地のガソリンスタンドや顧客企業のもとへ荷物を配送します。ガソリンスタンドのロゴマークが大きく表示されたタンクローリーを見かけたことがある人は多いでしょう。
高圧ガスタンクローリー
高圧ガスタンクローリーはLPガス、液化天然ガス、酸素、窒素などの高圧ガスを主な積載物として取り扱う車両です。
特にLPガスは、海外から輸入された後タンクローリーによって各地の充てん所に運ばれ、そこでLPガス容器へと小分け充填されたものが各家庭に届きます。多くの企業や家庭にとって欠かせないものを取り扱う分、運転手の仕事量は安定しやすいと考えられます。
タンクローリー運転手の1日の仕事の流れ
タンクローリー運転手は出社して最初にその日の仕事内容を確認します。合わせてアルコールチェックや必要な免許の確認も行います。
これらが完了したら荷積み場所へ向かい、ルールに従って荷物を積み込みます。
荷積みができたら、荷下ろし場所へ向かい荷物を納入します。納入後は再び荷積み場所へ向かい、荷積みと荷下ろしとを何度か繰り返します。
その日の業務が終了したら事務所に戻り、就業点検を受けて退社します。
タンクローリー運転手の1日の走行距離
タンクローリー運転手の1日の走行距離は300~400km程度であり、これはトラックドライバーで中距離に該当します。
特に求人が多いガソリンを取り扱う仕事の場合、製油所・油槽所とガソリンスタンドや顧客企業との往復が中心となるため、長距離を走行することはほとんどありません。大抵の場合、配送エリアは遠くても近隣の他県程度までです。
タンクローリー運転手のきついところ
運転の危険度が高い
タンクローリーは一般的な乗用車よりもサイズが大きく、運転にはテクニックが必要とされます。さらに、タンクローリーで運搬する荷物は危険性の高いものが多いです。万が一事故を起こしてしまうと、荷物が漏洩することによりさらに大きな被害を招く可能性があります。運転手は高い注意力をもって長時間の運転をしなければならず、きついと言えます。
ミスが許されない
タンクローリー運転手は危険な荷物を取り扱うことが多いためミスは許されません。
ガソリンスタンドで灯油を供給すべき場所に間違ってガソリンを供給してしまうといったように、別のものが混ざりこんでしまうことをコンタミと言います。顧客がガソリンの混ざった灯油を購入して石油ストーブ等に使ってしまうと、火災の原因となり大変危険です。
灯油やガソリンは液体のため、コンタミが起きるとタンクの中身を空にして洗浄するしかなくなります。会社への損害も大きなものとなるでしょう。このようなミスを起こさないよう運転手は細心の注意を払わなければなりません。
ルールが厳しい
タンクローリーは慎重に運転する必要があることから、運転手には厳しいルールが課されています。
運転中は制限速度を順守しなければならないほか、荷積み荷降ろしの際は細かく決められた手順通りに作業を行う必要があります。また指さし呼称をし、バルブの閉め忘れなどの不備がないかをしっかりとチェックすることも必須です。一歩間違えれば危険を招くタンクローリーであるからこそ、安全を保つためには日々の心掛けが欠かせません。
タンクローリー運転手の良いところ
給料は高い
タンクローリー運転手として働くためには、大型免許をはじめさまざまな免許や資格が必要です。その分就職後は資格手当がつくことが多く、一般的なトラック運転手よりも給料が高くなりやすい傾向にあります。
一般的なトラック運転手からさらにキャリアアップしたいという人にとってもタンクローリー運転手は良い選択肢となるでしょう。
重い荷物の積み下ろしがない
タンクローリーで運ぶ荷物は液体が中心であり、積み下ろしはパイプやホースを利用して行います。トラック運転手につきものの、手作業による重い荷物の積み下ろしは発生しません。
体力的な負担が少なく楽なところはタンクローリー運転手ならではのメリットだと言えるでしょう。年齢を重ねて体力が低下したからという理由でタンクローリー運転手に転職する人も珍しくありません。また女性にとっても比較的働きやすい職業です。
長距離輸送ではない仕事もある
トラック運転手は長距離を走らなければならないことが多いです。家に帰れるのは月に数回のみという人も少なくありません。
しかしタンクローリーの場合、長距離輸送ではない仕事も数多いです。ガソリンなどの石油製品の配送の場合、配送エリアは限定されており日帰りでこなせる業務がほとんどです。終業後は家に帰ってゆっくり休めるため、体力的に楽な仕事と言えます。
人間関係上のトラブルが少ない
タンクローリー運転手は仕事時間のほとんどを一人で運転して過ごします。上司や同僚と一緒に過ごす時間はごくわずかであり、人間関係上のトラブルに巻き込まれる可能性は低いです。
一般的に、仕事自体に問題はなくても人間関係が原因で退職を考える人は少なくありません。タンクローリー運転手はそのような人間関係のトラブルに関する心配が不要な働きやすい職業であると言えます。
タンクローリー運転手の給料/年収
タンクローリー運転手の給料は東京都の場合で月給20~35万円程度です。
賞与が2か月分支給されると仮定すると、年収は280~490万円となります。世の中全体の給与所得者の平均給与である441万円と比較すると悪くない金額だと言えるでしょう。
取り扱う荷物によっても給料は変動します。危険物や毒物、劇物を取り扱う仕事は比較的給料が高くなりやすい傾向にあり、特に化学製品は月給30万円以上を得られる仕事が多いです。
タンクローリー運転手の労働時間/残業
タンクローリー運転手は少なからず残業が発生します。ガソリン配送の場合、朝の3~4時に出勤して17~18時頃まで勤務するのが一般的です。配送先が遠ければさらに時間がかかることもあるでしょう。
また、油槽所の混雑によって荷積みに時間がかかったり、走行中に道路渋滞に引っかかることも残業増加の原因となります。
タンクローリー運転手の休暇/休日
タンクローリー運転手はシフト制の勤務となっている会社が少なくありません。
タンクローリー運転手の需要が高いガソリン配送の場合、年中無休のガソリンスタンドが多いことから毎日稼働する必要があります。GWや夏休みも関係なく動いており、まとまった休みを取るのは難しいことが多いです。
ただし、荷物の種類や顧客の特性によっては土日休みなど定休日が定められていることもあります。
タンクローリー運転手の福利厚生
タンクローリー運転手の福利厚生として、基本給のほかに走行手当を支給する会社は多いです。その他、住宅手当や家族手当など一般的な手当も多くの企業で支給されています。
手当のほか、危険物取扱者や高圧ガス移動監視者など業務に必要な資格の取得支援をしてくれるかも重要なポイントです。支援制度を備えた会社に入社すれば働きながら資格を取得することが可能となります。
タンクローリー運転手になるために必要な免許/資格
大型免許
タンクローリーは大型車両に該当するため、運転手になるには大型免許が必要です。
大型免許を取得するためには、視覚や聴覚の検査に合格するほか、年齢が21歳以上かつ普通、準中型、中型、大型特殊免許のいずれかを取得して3年以上経過していなければなりません。
試験場で直接受験し合格を目指すことも可能ですが、実技の練習が困難であることから、多くの人は教習所に通って大型免許を取得します。小型トラックや中型トラックの運転手として働きながら大型免許取得を目指す人も多いです。
牽引免許
タンクローリーの中には荷台を牽引するタイプのものもあります。このタイプの車両は一度に多くの荷物を積載することができ輸送効率が良いのですが、運転するには牽引免許が必要です。牽引免許を持っていれば運転手として乗務できる車両の幅が広がり、就職に有利となるでしょう。
牽引免許を取得するためには、年齢が18歳以上かつ二種、普通、準中型、中型、大型、大型特殊免許のいずれかを取得していることが必要です。
危険物取扱者の資格
タンクローリーで運搬する機会が多いのがガソリンをはじめとする石油製品です。これらは引火しやすい性質があることから消防法上の危険物に該当し、取り扱うためには危険物取扱者の資格が必要となります。
危険物取扱者の資格にはいくつかの種類がありますが、特にガソリンや灯油、軽油を積載物として取り扱うためには乙種4類が求められます。タンクローリー運転手はガソリンを取り扱うことが多いため、危険物取扱者の資格があれば有利となるでしょう。
高圧ガス移動監視者の資格
タンクローリー運転手として働くうえで有利とされる資格の1つが高圧ガス移動監視者です。高圧ガス移動監視者とは、タンクローリーでLPガスなどの高圧ガスを輸送するために必要とされる資格です。
資格を取得するためには、既定の講習を受講したうえで検定試験に合格しなければなりません。講習は、対象の高圧ガスすべてを取り扱うものとLPガスに限定するものの2種類があり、積載物の種類に応じて選択が可能です。
毒物劇物取扱責任者の資格
人間や動物が吸い込んだり皮膚に付着すると害になるものを毒物や劇物と呼びます。そして、タンクローリーの積載物の中には毒物や劇物に該当する化学製品が少なからず存在します。これを取り扱うためには、運転手は毒物劇薬取扱責任者の資格を取得していなければなりません。
毒物劇物取扱責任者になるためには試験に合格する必要があります。取得しておけば化学業界での就職に有利となるでしょう。
タンクローリードライバーに向いている人
慎重な人
タンクローリーは危険性の高い荷物を積載することが多く、少しのミスが火災などの大きな事故につながりかねません。そのため、ドライバーは安全第一で運転することが求められます。
納品時間に遅れそうだからと言ってスピードを出し過ぎたり無茶な運転をすることなく、常に周囲に気を配りながら運転できる慎重な人であればこの仕事に適していると言えるでしょう。
ドライバー経験が豊富な人
タンクローリーは車体が大きく、安全に運転するにはテクニックが求められます。大型トラックドライバーの経験者など、ドライバー経験が豊富な人に適した仕事と言えます。
実際に、募集条件として大型自動車の経験者を求めたり優遇する会社は多いです。豊富な経験を持つ人はトラブルが発生しても冷静に対処できると見込まれ好印象を持たれやすいでしょう。
体力的に楽な仕事をしたい人
タンクローリーは荷物が液体であるという特性上、トラック運転手にありがちな手作業での荷物の積み下ろしは発生しません。そのため体力的な負担は少なく済み、腰痛になる危険性も低いです。
また中距離や短距離の配送が多いのも特徴です。1運行に何日もかかる長距離輸送は体力的にも精神的にもつらいものです。タンクローリードライバーであれば毎日家でしっかりと休める仕事が多いため、女性やシニアといった体力に自信がない人でも働きやすいでしょう。
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