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トラック・建設機械(建機)の種類と資格

危険物を運搬・輸送するドライバーになる場合に必要な資格と取得方法

危険物の輸送とは

道路を車で走行していると、ふと前を走る「危」「毒」「高圧ガス」というマークを付けたタンクローリーやトラックを見かけたことがあると思います。詳しいことを知らなくても、「何か危険なものを運んでいるらしい」「あまり車間距離は詰めない方がいいだろう」「法定速度で走ってるんだな」と思いながら見ていた人は多いのではないでしょうか。

トラック運転手に運転免許取得が必須条件で有るのと同様に、ガソリンや石油などの危険物を扱ったり輸送したりする場合には、危険物を取扱う為の資格を取得しなければなりません。

危険物や爆発物はひとたび事故が起きると大惨事になり二次災害、三次災害へと被害が拡大していく可能性が大きい事は皆さんどなたでも良くご存知の通りです。ですから取扱については法律で厳重・厳格に規定と規制が有ります。この法律を犯した場合には重い刑罰が下されます。

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危険物を輸送するにはなぜ資格が必要なのか

セルフガソリンスタンドを例にとると、ガソリンは近くに火気が有ればあっという間に引火してしまいます。静電気ですら引火の恐れが有ります。では何故危険と分かっているセルフスタンドが多く存在しているのでしょうか?

実はセルフガソリンスタンドは法の規制に基づいて運営されており、国が定めた法律で危険物の取扱いについては厳しい規定が決められています。
ガソリン等の引火性の強い危険な物質の取扱は規程に沿って、常時監視カメラやモニターで監視を行っているのです。
セルフガソリンスタンドでは必ず危険物取扱者の中でも監督・監視の権限を法により定められている、乙種か甲種どちらかの資格を取得している人を責任者として常駐させなければいけません。

一般に言うガソリンとは法律の規定では第4類の第1油類に分類されています。第4類を取扱うには各都道府県で一番権限を持っている知事から免状を貰わないと罰せられます。
冒頭でお話しました、セルフ給油システムを採用しているガソリンスタンドの事業者は法で定められている資格取得者を常駐させ、作業をする人に対して監督・指導する権限と法を遵守する義務をおっています。

分かり易く言い換えると乙種または甲種の資格を持っている人が責任者として常駐して監視、監督していれば、一般車の運転者がガソリン給油作業を行っても法律上は問題無いと言う事になるのです。

「高圧ガス」マークと輸送に必要な資格

まず高圧ガスマークが有ります。これもまた大変危険な物質ですので、取扱うには高圧ガス移動監視者資格が必要です。
資格取得には高圧ガス保安協会が実施する2日間の講習を受けた後、各都道府県で実施される高圧ガス移動監視者資格試験を受けます。試験問題は20問で試験時間90分です合格基準は60%です。国家資格ですが2日間の講習を真面目にしっかり取り組めば合格は難しくないそうです。

また、「高圧ガス」は次の4つに分類されています。ただし、「高圧」である時点で、ボンベの内部の温度が上昇するだけで爆発の可能性があるということはすべてに共通しています。

  • I類「可燃性ガス・酸素」:火をつけると燃えるもの、衝撃で爆発するもの、空気に触れることで発火するもの
  • Ⅱ類「毒性ガス」:人が吸ったり触ったりすると麻痺はけいれんを起こすような、毒性があるもの
  • Ⅲ類「LPガス」:液化石油ガス。都市ガスではなくプロパンガスを使用している家庭や店舗には、この車両が頻繁にボンベの交換に来ると思います。
  • Ⅳ類「特殊高圧ガス」:災害を引き起こす可能性が高く、取り扱う際に、特に注意が必要とされる7種類のガス

「毒」マークと輸送に必要な資格

次は毒物劇物取扱者です、毒物も薬物もこれまでの危険物と同じく漏洩などの事故が起きると大きな災害に繋がりますので各都道府県は資格試験を実施しています。

毒物及び劇薬取締法によると、毒性が強い物から順に、特定毒物・毒物・劇物の3つに分類されています。毒と言うと、ずいぶんかけ離れたもののように感じられますが、医薬品や農薬を作るために使われるものも多くあります。ただ扱いや量を間違えると害が及ぶので注意が必要です。

「火」マークと輸送に必要な資格

火薬類の輸送、運搬に関しては内閣府から府令と言う形で火薬類取締法が施行されています。移送や運搬をする場合には公安委員会に届出をし、運搬証明書を取得しなければなりません。法令ですから必ず遵守するよう覚えておいていただきたいと思います。

「危」マークと輸送に必要な資格

危険物は消防法で、次の6つに分類されています。

  • 第1類「酸化性固体」:それ自体が発火することはないのですが、他の物を酸化させる働きが強く、燃えやすい物と一緒になると、熱・摩擦・衝撃で発火したり、爆発したりします。
  • 第2類「可燃性固体」:着火・引火しやすい固体の物質で、酸化されやすい物と一緒になると、発火したり、爆発したりします。また一旦火がついてしまうと、消火するのがとても困難です。
  • 第3類「自然発火性物質・禁水性物質」:空気や水に触れることで発火する性質を持つ固体や液体です。ほとんどが両方の性質を持っています。
  • 第4類「引火性液体」:近くに火の気(静電気や摩擦熱でも)があると、引火して爆発を起こしやすい液体です。
  • 第5類「自己反応性物質」:それ自体が燃えやすい固体や液体で、低い温度でも発熱します。そして反応のスピードが非常に速いです。
  • 第6類「酸化性液体」:第1類と同じ性質を持つ液体です。

特に液体を運ぶ場合には、急カーブでは遠心力で車体の外側へ、急発進では車体の後方へ、急ブレーキでは車体の前方に液体が偏って(波が立って)車体のバランスが悪くなるので注意が必要です。液体の性質をしっかり認識して慎重な運転をしなければなりません。

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移送と運搬の違い

トラックやタンクローリーでの運送にも厳密な規定が有りまして、移送するのと運搬するのとは同じ意味では無いのです。

わかり易い規定例ではタンクローリーは移動タンク貯蔵所と言います、ですから勿論移送すると言います。トラックにドラム缶などを積んで運ぶ場合は運搬と言います。言葉一つにしても厳密に解釈や意味を明確にして危険物の定義がされています。

危険物取扱者の資格試験の受験資格

危険物の取扱いについては法律で厳密な規定を定めています。運転免許は公安委員会の管轄と言うのはご存知かとおもいますが、では危険物や危険物の取扱については何処の管轄かと申しますと、管轄は消防庁です。そして都道府県の最高権威者で有る知事より国家資格として交付されるのです。

扱える危険物の種類に依って上級資格から順に甲・乙・丙の3つのクラスに別れています。乙種・丙種には受験資格制限は有りません、誰でも男女の区別も無く受験出来ます。

甲種については理系大学卒業とか実務経験2年以上とかの厳しい資格条件が必要になりますので、甲種については説明を少し省きます。なお、試験は2008年の法改正を受けて、それまで厳しかった受験資格を年齢制限も含めて一部緩和しました。

危険物取扱者になるための試験

危険物を取扱う際は法律に厳しく定められています国家資格が必要になります。危険物の種類や性質そして何より漏洩、爆発などが発生すると大事故を起こす恐れが有るので厳しく厳格な管理が求められます。危険物取扱者はこれらに適切に対応出来るだけの知識と技術を身に付けた者のみに与えられる特別な国家資格です。

試験を実際に実施しているのは財団法人消防試験研究センターですのでここへ受験申請をして、年2回から6回ある試験を受験します。試験問題は簡単に言うと「法令」「物理・科学」「危険物の性質、火災予防と消化方法」の3項目有り、5肢択一のマークシート方式で実施されます、合否基準は正解率60%以上で合格となります。最上位資格の甲種から乙種・丙種と順に問題数も少なくなり少し易しくなります。分類についての詳細は省きますがわかり易く物質毎に分類されています。第1類は酸化性固体/第6類は酸化性液体、第2類は可燃性固体/第4類は可燃性液体(ガソリン、アルコール、重油、軽油、灯油)、第3類は自然発火性物質・禁水性物質/第5類は自己反応性物質と言うように分類されています。

丙種の受験を希望する人は、危険物分類上のガソリンなどを取扱う事が出来る資格です。他者の監視や監督などは出来ません。資格保持者のみ作業が出来る資格です。

乙種受験者は、上記分類の中から希望する一つを選択して受験します。合格して資格を得る事が出来ると、分類に該当する危険物を取扱う権限を得ます。そして本人以外の作業者が危険物の取扱いに際して監視・監督の権限を与えられます。

甲種については、第1類から第6類まで全類の試験を合格して資格を有している乙種の資格所持者と甲種の全類資格保持者は実際の業務上ではあまり変わらないですが、甲種所持者は全類のどれか一種一つの実務経験が半年以上あれば危険物保安監督者になれます

乙種を所持している人は、すべての資格を取得していてもそのすべての分類種別毎に半年以上の実務経験を積みませんと危険物保安監督者にはなれません。

甲種を受験したい方は受験資格に実務経験2年以上必要ですとか理系大学卒等など様々な条件が必要になりますのでここでは詳しくご説明いたしませんが、合格すると上記分類の全種類を取扱い権限と本人以外の作業員に対するすべての監視・監督権限を与えられます。また、甲種の資格を取得すると、技術士試験の一部を免除してくれるとか自衛隊の陸上関係の任用資格が得られたりという特典が有ります。

運送会社が危険物を取り扱うときの義務

危険物取扱の資格者の配置

危険物を取り扱うには充分な知識が必要になります。ですから、国家資格である危険物取扱の資格者が運転するか、同乗しなければなりません。

必要な備品設置

車両備品について、消火器、赤旗、赤色合図灯または懐中電灯、メガホン、車輪止め(2個以上)、停止表示機材、必要工具、高圧ガスの場合:高圧ガスの漏洩検知液または石鹸水、皮手袋が必要になります。

また、携行品について、運転免許証、危険物の場合:危険物取扱者の免状、毒物(例:黄燐)の場合:保護手袋、保護長靴、保護衣、酸性ガス用防毒マスク、高圧ガスの場合:高圧ガス移動監視者講習の修了証、発荷主が発行したイエローカード(緊急連絡カード)が必要になります。

危険物取扱時に非常事態が起こったときの手続き

また、非常事態に陥った時には、被害を最小限に食い止めるために、迅速な対応が求められます。

  1. 事故が発生したことを周囲に大きな声で知らせて、避難を促します。
  2. 消防、警察に通報します。
  3. 運送・荷主に状況を説明します。
  4. 漏洩・飛散の有無を確認します。
  5. 周辺火災が発生した場合には、避難または消火をします。
  6. 引火・発火があれば、通報するとともに避難を促します。
  7. 自身も安全な場所へ移動して、応急手当を行います。

なお、これらの車両は長いトンネルは通行出来ないという交通規制があります。空間的に制限がある場所で万が一のことが起こる被害が大きくなるからです。

積んでいるものを知ると、これらを輸送する車両が法定速度をきっちり守って走行している理由がわかりますよね。そして周りの車も決して煽り運転をするようなことがあってはいけないということもわかったと思います。ドライバーたちは細心の注意を払って安全な輸送を心がけているのです。そして車を止める時にも、住宅地、学校、病院の近くを避けて、安全な場所を選ばなければなりません。そしてやむを得ない場合を除いて決して車両から離れることができません。

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