タンクローリーとは
タンクローリーとは、容器に入っていない液体や気体の形状の物を、そのままの形状で荷台のタンクに入れて運搬することができる、専門性の高いトラックです。なかでも、ガソリンスタンドで遭遇する機会が多い車で、積載物はもちろんガソリンです。
見た目も個性的で、楕円形の長い筒を横倒しにして荷台に積んでいるので、とても目立ちます。運転手は特殊な知識を身につけないと荷扱いできません。
タンクローリーの仕事ではミスが許されない
タンクローリーの仕事は、とても責任とやりがいを感じられる仕事です。運転手が大したことではないと思う些細なミスでも、時として大きな事故に繋がります。
荷降ろしや積み込みの手順を、少し手抜きして作業しただけでも重大な問題に発展することがあります。ですので手順に従った作業が重要で、細かいチェック項目をひとつひとつ面倒がらずに、確実に実行しなければいけません。
タンクローリーでよくある事故
タンクローリーの横転事故とは
液体を直接注入して運搬するタンクローリーは、グラスに注いだ水のように前後左右に重力の中心点が動きます。直線を同一の進行方向に、同じ力で進んでいるときには感じませんが、ブレーキやカーブなどにより、重心がずれてしまった時に大きな事故へと繋がることが多いです。
例えばカーブを充分な減速なしで曲がった場合、遠心力で外側にはみ出そうとする力が荷台に強く加わり、運転テクニックだけでは到底支えきれず、外側に向けて横転してしまいます。
タンクローリーの火災事故とは
ガソリンスタンドなどでよく見かけるタンクローリーは、危険物を積んでいます。ガソリンなどの引火性の高い危険物を積載したタンクローリーが横転すると、事故の衝撃や火花などが積荷に引火し、大きな火災事故になる可能性があります。
また、原因は事故だけではなく、積込時や荷卸時にも可能性があります。火花の元は静電気です。帯電防止機能のついた作業着を着用したり、静電気を除去する作業手順を厳守したり、万全な対策を講じて作業をしますが、ドライバー自身も正しい知識を持つことが大切です。
タンクローリーの漏洩事故とは
タンクローリーは危険物や毒物などを運ぶ機会が多くあります。荷台の後ろなどに積載物と積載重量が表示されていますが、危険物や毒物として指定されている物を一定量以上積載している場合には「危」や「毒」の掲示をします。
万が一大きな事故などが発生し、積載物が漏洩してしまった場合は決まりに従った処理を進めなければいけません。
また、漏洩は車両事故に限ったことではなく、積込時や荷卸時にも、積みすぎや手順ミスなどによる漏洩の可能性があります。
タンクローリーの仕事ではミスをしないために手順を守ることがとても重要!
危険物や毒物などの、細かい規制がある積載物を運ぶ仕事が多い、タンクローリーは、作業の手順が事細かく決められています。
まずは積み込み、荷降ろしの手順を厳守することから確実に覚えていき、スキルをあげましょう。交通事故や作業中の事故を発生させると、お詫びだけでは済まず、大変な後処理が控えている可能性が充分あるのです。
タンクローリーの積み込み作業の手順
タンクローリーの積み込みには厳しいチェック工程がいくつもあります。
- まず、会社からの指示をうけ、積み込み場所に向かいます。積み込み場所の事務所では、何をどれだけ積むか、受付をしましょう。システムなどで積込の商品間違いや手配間違いが無いように、管理されている場合もあります。
- 受付を通った後は、実際に現場で積み込む場所へ車を移動させます。
- 積み込む場所へ到着したら、まず、車両が動き出さないように輪留めで固定し、万が一漏洩しても流出しないようにきっちりコックが閉まっているか、装置が正常かどうかなど確認します。
- 次に、大切なのはローリーの中のどの部分に何を積むか、指示を間違えないことです。別のものが混ざってしまうと売り物にならず、タンクの洗浄も余儀なくされ、不要な経費と時間がかかることになります。
- そして受付時と同様に、どこに何をどれだけ積むか、再度確認を行います。何度も確認をするのは、間違いがないことが必須条件だからです。
- 確認が終わったらハッチのマンホールを解放します。ハッチを開放する前には静電気を除去すること、アースをとったり決められた防護策をを講じましょう。
タンクローリーの荷降ろし作業の手順
お届け先のガソリンスタンドなど、荷降ろし先に到着したら運転手は、手順に従って荷降ろしをする準備を進めていきます。
- まず、荷降ろし先の情報は事前に確認しておくことをお勧めします。車を止める向きが決まっていたり、積載位置が納品する商品によって異なるからです。車長が長いタンクローリーは小回りが効かない場合が多く、誤った方向から進入してしまうと、荷降ろしできなかったり、抜け出すのに大変な苦労をしたりすることになります。
- 納品先の担当者に駐車位置の誘導を受けるのも非常に有効で、より安全に駐車することができます。
- 荷降ろし時は積込時と同様に各種確認を行います。アースを取り、風上に消火器を設置してから作業を始めましょう。
- 荷降ろしは納品先の担当者の立ち合いの元、相互確認をしながら進めていきます。チェックシートがある場合はその手順通りに一緒に確認していくと良いでしょう。特に、相互確認が必要な重要ポイントは、何をどこにどれだけ卸すのかという伝票内容と注文内容の確認、荷卸し順序の確認、給油口やホースの結合部が正常かどうかの安全確認などです。
タンクローリーの荷降ろし作業のコツ
ガソリンスタンドへ入り方を工夫する
ガソリンスタンドへ軽油や灯油、ガソリンを納入するタンクローリーはトレーラーのため長く、小回りが効きません。納品先の注入口の位置や向きなど事前に確認し、トラックのどちら側を接車すれば効率的に荷降ろしができるかなどと考えて工夫するのがコツです。
必ずしもバックで進入したほうが良いとも限りません。万が一接車が難しかったり、一般客の車があって入りにくかったりする場合は、迷わず納品先の方に誘導してもらいましょう。
初めて行くガソリンスタンド場合は進入方法を事前に調べておく
初めて納品に行くガソリンスタンドは、事前に進入路を確認しておくと良いです。トラックが多く給油場所として利用するような、広いスペースの施設は、タンクローリーでも難なく進入できますが、荷降ろしは広い施設だけではありません。
狭いガソリンスタンドに納品する際、地図などを確認してもわからない場合は、事前に直接問い合わせるなどして下調べするのがコツです。
重油から荷降ろしする
タンクローリーは、積んだ物の順番とは逆の順に卸していくのがコツになります。
多くの場合、ハイオクを一番先に積みます。次にレギュラー、軽油、灯油、最後に重油という積み込み順となるわけです。荷降ろしは、逆に積んだ順ではなく、最後に積んだ重油から荷降ろしを進めていきます。そうすると手順的にも効率が良いのです。
タンクローリーの荷降ろしには立合いが必要
立合いする人が確認することとは
タンクローリーから荷降ろしをするときには、納品先の担当者に立合い確認を依頼し、相互で確認作業を進めていきます。特に確認が必要な部分は、納入品が注文品とあっているか、注入口の確認や、注入時の油漏れ等がないかなどです。
立合いが必要な理由とは
消防法で定められている納品方法は立合いでの相互確認です。それほど、荷降ろし時にタンクローリーの運転手と納品先の担当者が相互で確認しあうことが、安全確保のために必要であるということです。
万が一の事態に備え、異常発生時の初動に対する役割分担など対応法も定められています。
タンクローリーのタンクの中の構造
仕切板とは
仕切板はタンクローリーの広いタンクの中を仕切っている板のことを指します。
タンクローリーは流動体を積荷として積載し、運搬しますので、ブレーキやカーブなどの重心の変化に対処するための構造です。中に水槽をいくつか積んでいると考えると良いでしょう。
反動は液体の粘度も大きく関係しますが、液体が漂うスペースを小分けにすることで、激しい動きを分散させる効果があります。
中を一定量ずつ仕切っているので、仕切板は重心の偏りを分散させるのにとても有効です。
防波板とは
防波板は左右への波立ち防止の効果のある構造です。タンクローリーが走行する際の、右左折やカーブ時に発生する重心の移動に対し、タンクの中身が激しく追従して移動してしまうと、車体が横転する危険があるので、それを防ぐのに効果を発揮します。
側面枠とは
側面枠はタンクローリーが万が一横転した場合に、完全に上下ひっくり返る転覆を防ぐ効果がある構造です。円筒形や楕円の荷台ですので、転倒の勢いによっては回転してしまいそうに感じますが、この側面枠がとても有効的に働きます。
防護枠とは
タンクローリーの天井部分にはハッチがあり、積み込みを行う際に開閉するふたがあります。防護枠はそのふた部分から漏洩した際に、外部へ流出を防ぐ目的で設置されている壁です。
タンクローリーは円筒形ですので、表面も湾曲している構造です。漏洩すると側面を伝って外部に流出してしまうので、ハッチの周りを囲んだ枠でせき止めています。
タンクローリーの積み込みと荷降ろしのまとめ
タンクローリーの仕事は、細かい確認事項や決まり事が山ほどあり、大変そうなイメージがあるかもしれません。大変な仕事には違いないですが、生活必需品を運ぶ、ライフライン輸送としても、とてもやりがいを感じることができる仕事です。
何より、大型免許を活用した仕事を目指す人の多くがあこがれる、花形の職業です。
細部にわたり、積み込みや荷降ろしの手順が決められているということは、それほどミスをすると危険で、大きな事故へ直結するということです。
どんなことよりも安全第一に考えることがとても大切ですので、責任感の強い方にはもってこいの職業です。誰もがあこがれる職業でも、誰でも簡単にできるわけではなく、プロドライバーの中でも特別感が溢れています。
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