私たちの暮らしは、今や物流業界をなくしては考えられません。ネット通販の発達と共に私たちの暮らしを支えてくれている物流業界ですが、宅配物の量は増加の一途で、トラック運送業が非常に困った状態にあります。仕事量は増えているのにドライバーの数は年々減っています。国内輸送の大部分を担うトラック運送業において発生している物流危機と対応策について解説します。
トラック運転手・物流運送業の人材不足問題とその原因
人材不足が起こる理由は仕事と人材の需要供給のバランスが崩れているから
そもそも人材不足はなぜ起こるのでしょうか。それは需要と供給に関係しています。
まず、国土交通省・厚生労働省の調査によると、運送業を生業とする人口というのは、約180万人です。そして注目すべき点として、若年就業者の割合が他産業の平均年齢に比べて低いことをあげています。
また40代~50代前半の中年層の占める割合も合わせて高いことを指摘しています。その他として、就業者に占める女性の割合が非常に低いことも問題視されています。この状況から考えて今後のドライバー業界としては、高年齢就業者の割合がどんどんと高くなっていくこと、現状の年齢層から20~40代の若手~中堅層の就業者数が極端に少ないといった年齢構成の歪みが問題になっていくことが考えられます
これは需要と供給のバランスに原因があります。需要と供給のバランスが取れていない状態というのは2つケースが考えられます。
- 一つ目のケースは、需要が増えてしまったというケースです。どういうことかといいますと、仕事量が増えたのに、それに応じて人が増えていないというケースです。
- もう一つのケースは需要(仕事量)が変わらないのに、働く人数(労働力や質)が下がってしまったというケースです。純粋に数が減るだけではなく、高齢化などもそれには含まれます。
現在、運送業が陥っているのは、まさしく両者です。ではまず初めに、なぜ需要に当たる仕事量が増えてしまったのでしょうか。これは私たちの暮らしの変化に関係があります。
アマゾンのようなネットショッピングやメルカリのようなフリマサイトの物量に起因する需要の原因
国土交通省の物流に関する状況の調査で、運送業の現状として2点注視されています。
1つ目はトラックの運送における荷物量(積載量)の少なさです。もし運送で今よりも多く荷物を詰めることができれば、人材不足の解消の一手になるというのです。2つ目は、今や多くの人たちがインターネットショッピング(ネット通販)を利用していますので、宅配の量が大幅に増えてしまったということです。これは今後も増加の一途を辿るでしょう。
インターネットが普及している現代で、ネット通販を使うことは誰しもあると思います。ネット通販の普及で小口発送が毎年増えており、実際に平成28年度の調査で集計結果を見ますと、宅配便の数は平成4年に1,189万個だったものが平成28年には4,019万個まで増加しています。
さらに宅配業者を悩ませるのが再配達です。全体の約2割が荷物の再配達されてるようです。4000万個のうちの2割というと80万個もの荷物が再配達されるとなると、ドライバーの仕事量も相当増えてしまいます。また配達の日付や時間指定もドライバーを悩ませているようです。配達時間を指定されていると、配送ルートを決めることも大変です。
配達時間の指定が増えているため、トラックに空きスペースがあっても配達せざる負えません。そのため効率よく配達できないので、配達に時間がかかって夜遅くまで仕事をすることも多いようです。こういった仕事量の増加が一人がこなすノルマを高めてしまい、仕事を辞めてしまう人がいるという状況です。
顧客のニーズが多様化している現代に、運送業界がカバーしきれいな事も問題です。
このような理由により需要急増に今あるのです。そうなるとやはり供給サイドの人材確保は急務になるといえるでしょう。しかし、ここでも問題があります。
物流業者の数とトラック運転手の数に起因する供給の原因
有効求人倍率と失業率からみるドライバーの人手不足
2018年の日本において、既にもうあちらこちらで人材不足の声が上がっています。今や多くの業種で人材不足問題を抱えていますが、人材不足の業種の一つに運送業があります。人材不足の原因はどこにあるのでしょうか。
まずは完全失業率からみていきます。2018年時点で完全失業率は3パーセントを切っていて減少傾向にあり、有効求人倍率も平均してポイントがあがってきています。ただし、業種ごとのデータでみると、全ての業種が人材不足に陥っているのではないことがわかります。
具体的には事務員などの人材は比較的需給が問題となっておらず、逆に介護やドライバー業が深刻な人材不足であるという統計が出ています。そしてこの物量とドライバーの需要と供給の関係は先ほど述べた通りです。
トラック事業者数の推移からみる物流配送会社(トラック事業者)の減少
売り手市場と言われてどこの業界も人材が不足していますが、もちろんドライバー業界も人手不足。どの位に不足しているのか調べてみると、国土交通省がとある統計を発表ていました。
トラック事業者について平成20年度の7029社が最も多く、それ以降は徐々に数が減って平成26年度の総トラック事業数は7075社になっています。しかし求人率を見るとトラックの会社自体が減っているにも関わらず、全職業の求人倍率が1.35倍に対してドライバーの求人率は2.68倍と約2倍の求人率でした。このことから、いかにドライバー不足か分かりますね。
こうした中、特に運送・物流業においては、具体的にどんな課題や問題があり、人材確保に向けてどのような対策と取り組みをしていけばよいのでしょうか。
ドライバー・運転手の人手不足問題の原因と対策①:高い離職率
ドライバーの人材不足は運送業界だけでなく、我が国全体の問題にまで広がっています。なぜなら、物流は、私たちの生活に大きく関わり、物流なくしては私たちの暮らしは成り立たないからです。なぜここまで、運送業の人材不足に拍車がかかってしまっているのでしょうか。原因とこれからの展望についてみていきます。
ドライバーの離職が多い問題とその原因
運転手の人材不足を語る上で、ドライバー業の離職者は非常に多いことが挙げられます。ドライバー職が抱えている問題の二つ目は退職者が後を絶たないということです。なぜなのでしょうか。
業務内容のギャップ
考えられるのは、求人者の求人内容から判断できた業務内容と、実際現場に入って体験する内容に大きなギャップがあるということが挙げられます。
まずは業務中のほとんどが車中にいるということです。早期離職者の多くの人は、ずっと車中にいることに対しての慣れがありません。運転中はともかく、休憩中も車中ですし、時間指定のある業務は長く車中で待たされることも少なくありません。そういった積み重ねが退職してしまう要因を生んでいます。
労働時間の長さ
次に挙げられるのが労働時間の長さです。会社ごとに労働時間の規定はありますが、実際、残業が増えてしまうところがほとんどです。なぜかといいますと、悪天候に左右されやすいということと、大型連休の影響を受けやすいことがあります。こういった労働時間の長さが、離職に拍車をかけてしまします。
運送業界の将来と未来
最後にもう1つあります。会社に将来性を感じられないということが大きいでしょう。慢性的な人材不足のため、やはり一人一人にかかってくる負荷はどうしても重くなってしまいます。このまま業務の大変さはずっと変わらないという失望にも近い感情が、辞めたいという結論を生み出してしまいます。
また、今は多くの業種で人材不足で求人募集を出しているので、退職しても次の就職口を探せば良いという心理が働いてしまうのです。そうなるともう、会社にとどまる理由はなくなってしまいます。これが、退職者が後を絶たない理由の一つです。
運送・物流業界をとりまくマスコミ・メディアやSNS
更に追い打ちをかける恐れのある理由があります。今、多くの人がSNSを利用しています。SNSでは何を発信しても基本的に自由ですので、仮に退職者が辞めた会社のマイナスイメージになることを発信したとします。
そうすると、あっという間に世間に広まる可能性がでてきます。実際に、SNSでの発信からマスコミに取り上げられて、会社の改革を迫られたところもあります。
このような痛手を追わないように、会社はどうしたら良いかといいますと、会社の将来性が感じられないと思った時点で、一人で抱え込まず、誰かに相談できれば結果は違ってくるでしょう。ドライバーは基本的に一人で業務を行います。誰にも相談できずに辞めていくというのは、会社にとっても非常にマイナスです。
いつで気軽に相談できる雰囲気や、懇親会等開催し、参加させることも退職の歯止めになります。こういった企業努力が、負のスパイラルからの脱却に繋がります。
ドライバーの離職が多い問題に対する対策
このように業務にあたる上で、大変な部分がありますが、大変なのは異業種も同じです。ですので、大変な部分をもカバーしてしまう位の魅力が感じられれば、離職者も減少していくはずです。では一体、ドライバー業にはどのような魅力があるのでしょうか。
まずは基本的に業務を一人で行うところにあります。一人というのは何でも自分で処理しなければならず、責任も重大な面がありますが、良い面もあります。誰の目もありませんので、気持ち的に極度な緊張を感じることもないですし、自分のペースで業務に没頭することができます。単独プレーが得意な人にはもってこいの業務と言えるでしょう。
また、常に深刻な人材不足ですので、免許を持っていれば、再出発したい人にとって就職しやすい職種でもあります。会社によっては60代でも採用するところもあります。他にもメリットはあって、ずっと車中での業務になり、初めは窮屈に思うかもしれませんが、慣れてくれば、上手に過ごせるようになる人も多くいます。
以上のように他の業種にはない魅力が詰まっていることを、ドライバー業の会社の方はもっとダイレクトに求職者に伝えていけば、現状が変わってくるはずですが、その努力をいまいち踏み切れない実情があることを覚えておく必要があります。
ドライバーの離職問題に対する対策が効果を発揮していない原因
運送・物流業界における諦め
一つ目の実情として、そもそもドライバー業に興味をもってくれる人が少ないとあきらめてしまっているということです。特に今の若い人は「安全」であることや、「残業がなく、休みが多い」ところを求める傾向にあります。
やはりドライバー業というのは体力面でハードでありますし、拘束時間も長くなってしまいますから、どうしても敬遠されがちです。他の業種で何が何でも人材が欲しいところは、人材確保に努力を惜しみませんが、それでもドライバー業はそこの一押しが今一歩なのです。今一歩の理由として、人材が不足しているなら、業務自体を他社に回してしまえば良いという風習が、昔からあるからです。
慢性的に人材不足ではあるけれども、いざという時の解決策が常にあるので、人材確保の努力に二の足を踏むのです。
ドライバーになるために必要な免許のハードル
二つ目の実情として、免許所持者以外は採用されにくいという現実があります。
ドライバー業の業務にあたる上で必要な免許は、例えば中型や大型の一種免許ですが、費用がかなりかかってきます。大型免許の取得は、条件を満たせば国の「教育訓練給付制度」を受けることができますが、それでも10万円以上の出費は免れません。
転職希望者の多くは、少しでも出費を抑えて活動したいですので、大金をはたいてまでドライバー業へ就こうと考える人は少ないでしょう。しかし、ドライバー業の会社はよりよい人材を確保したいのであれば、免許を持っていない求職者も積極的に採用、養成し、自社で育てる気概が大切です。
ドライバー・運転手の人手不足問題の原因と対策②:長い労働時間と給料・低賃金イメージによる求職者減
若者を中心に運送業へ就職希望するドライバー求職者が減っている状況
ドライバー職の一つ目の問題として、就職を希望する者が少ないということが挙げられます。なぜ就職を希望するものが少ないのでしょうか。それはドライバー職に対するイメージに問題があるでしょう。ドライバー職といえば、世間一般のイメージとして、労働時間が長い、体力的にきつい、昇給が見込めず給与が安いといったものがあります。
考えられるのは、昔から定着してしまった、悪い就業イメージが現在も根強く残っており、不人気職種となっているということが挙げられます。大きなトラックの長距離の運転は、昼夜を問わず行われることが多く、非常に過酷な就業状況になります。また、なかなかトイレ休憩やお風呂休憩が取れないのでは?と思われており清潔なイメージではないですね。そのほかにも、重い荷物の載せ降ろしなど、過酷なイメージばかり。
現在は実際のところ、国から安全なドライビングのための就業条件を守ることが義務化され、過酷な労働条件はほとんど解決してきているといわれていますがなかなかイメージがぬぐえていないというのが現状です。
ドライバーの労働時間・給料の問題とその原因
ドライバーの労働時間が長いにもかかわらず、給料がそれほど高いとは言えない点はよく取り上げられるポイントです。厚生労働省は賃金構造基本統計という調査を行っています。それによりますと、ドライバー職の年間平均残業時間は約396時間という結果が出ています。実はこれは他の業種に比べますと、約2.5倍の長さになります。
これだけ働いているのだから、給料は高いのかといいますと、まずは月の平均給料は約33万円弱で、これは他の業種よりも約1万円低いです。年間賞与額に及びますと、約37万円弱で、他の業種の半分以下となっています。
ドライバーの就業時間は1日で原則13時間で、最大の勤務時間は16時間まで(15時間を越える労働は週に2回まで)と決められています。年収ベースでドライバーの賃金はどのくらいかというと、平均年収は約400万円のようです。
中距離や長距離トラックのドライバーであれば年収500万円以上の人もいるようですが、運送・配送ドライバーですと平均年収ぐらいになるようです。労働に対してあまり高い賃金が望めないと、やはり人材が集まらないの頷けます。
ドライバーの過酷できつい作業問題とその原因
次に過酷な作業がよく挙げられます。例えばトラックドライバーを例に挙げますと、業務はトラックの運転だけではないのです。その他の業務といいますと、倉庫から荷物を出してトラックに積み込む、そしてお届け先に届けるために、荷物を積み降ろし運ぶという作業があります。トラックに荷物を積み込み、そこから到着地で荷下ろしがあり、と考えると確かにドライバーは重労働です。
これらの作業はいまだに人の手によって行われている所が多いです。人の手で行いますと、それだけ時間もかかってしまいます。このように過酷な業務を担わなければならない職種ですので、なかなか希望者が増えないというのが現状です。
ドライバーの求職者が少ない問題に対する対策
ドライバーがきつい・しんどい・給料が安いといわれ続けていたのは一昔前の話であって、少しずつドライバー業界も変わってきています。
労働時間やドライバーの体力面を考慮して、シフトの組み方を改めたり、優秀なドライバーを認定して、一般社員と差別化する会社も増えてきています。このような、徐々に改善されている労働環境をどれくらいの人が認知しているでしょうか。まだまだ世間への周知はされていないでしょう。これは大変もったいなく残念なことです。会社側はもっと、自社のアピールポイントを外に向けて発信していかなくてはなりません。それにはいくつか方法がありま
若手人材の考え方を理解した上でトラックドライバーの特徴を伝える
若者の仕事に対する意識調査で、若者が仕事に求めるものを調べてみました。
すると「プライベートを大切にしながら仕事していく事」という意見が最も多かったです。ドライバーの仕事柄、どうしても長時間労働になりがちなので、こういった面が若者に嫌煙されるのかもしれません。しかし何故仕事が長時間になってしまうのでしょうか。
原因の一つに「荷待ち」があります。ドライバーはトラックに荷物の積み下ろし作業をしている間は待機しなければいけません。その上、以前はこの荷待ち時間は業務として認められていませんでした。そのため荷待ちで時間が遅くなれば、その分を巻き返そうと急いで運転したり、サービス残業をしていました。
そこで平成29年度から荷待ちも業務として時間を記録するよう義務付けられました。さらに国の方針で荷待ち時間の減少させるために、荷主側も荷待ち時間を減らす工夫を求められています。
一方で別の意識調査では若者が仕事にやりがいを感じる時は「スキルアップと自分の成長を感じる時」でした。また自分自身の成長が望める仕事であれば「仕事量や業務時間が増えても挑戦していきたい」と考えているようです。
そこから考えると若手の人材確保のためには、人材教育とスキルアップを会社が積極的に行うことが必要ではないでしょうか。どの企業でも行っているよう座学での学習と実地での技術取得、OJTが若手の仕事のをチェックしていくことが必要と思われます。
女性トラックドライバーのポテンシャルに目を向ける
女性のドライバーは男性ドライバーと比べて見かける事が少ないですよね。実際にドライバーとして働いている女性は2.5%とごくわずかです。やはり女性は男性よりも体力が無く、荷物の積み下ろしや長時間労働に不利だった事が、女性ドライバーが少なかった一因でした。
しかし日本全国には大型免許を持っている女性は13万人以上いるようです。そこで潜在化している免許を保持者の女性を雇用することで、人材不足を解消することを案に出しました。
女性が働きやすい会社を調べるとランキング第1位は「時間の自由がききやすく、自分の生活スタイルに合わせられる事」でした。家庭を持っている女性が仕事と家事育児を両立させるためには、フレキシブルに働ける事、産休や育休が申請しやすい環境が必要です。ドライバーは資格があれば年齢に関係なく就職できる仕事です。女性の雇用を促進するが運送業界の働き方を改善していくのではないでしょうか。
トラックドライバー職のメリットを求職者に対して打ち出す
まずは、自社のホームページの見直しです。インターネットが普及している今、自社のホームページを作成しているところは多くあります。ですが、ただ作成しただけで就職を希望する者を集めるのは難しいです。
それでは就職を希望する者の目を引かないからです。就職を希望する者の目を引くようにするには、採用専用のホームページを用意することが効果的です。そこに会社の本気度が感じられるからです。採用専用のホームページは内容を充実させる必要があります。
業務はシフトをきちんと考えて組まれていることや、優秀なドライバーを認定する制度があることを訴えることが大切です。
仕事の効率化でトラックドライバーをもっと働きやすい職業にする
どうすればドライバーの仕事が効率よく行えるのでしょうか?運送業務で挙がる特有の問題点は、「荷待ちによるタイムロス」と「トラックの積載率の悪化」です。
荷待ちによるタイムロスについて、トラックが荷物を積載するために荷主の所に行きますが、積載はトラックの到着順に行われています。多くのトラックが早めに集積場に着いて待機しているため、結局自分のトラックにいつ荷物が積まれるのか分からないのが現状でした。
次にトラックの積載率です。積載率とはトラックにどれぐらい荷物を積んで走っているかということです。平均積載率は約40%です。これはトラックの中が半分以上が空のまま運送していることになります。
ではなぜ積載率が悪化しているのでしょうか?それは多様化したニーズが問題のようです。細かく決められた配達時間により、トラックの積載が少ない状態でもその時間に荷物を届るため、トラックに空きスペースがあっても出発せざる負えません。
AIとDX化で物流が変わる
昨今、物流の効率化の解決の糸口として挙げられるのはAIです。近年、AIの発達していますが、物流業界でもAIが活躍し始めています。例えば今までは人の手によって配送計画を建てていましたが、今後はAIが配送ルートを計画して、時間ロスが無い配送が出来るようになると言われています。
そして物流業界で期待されている技術は自動運転機能ではないでしょうか。まだ開発段階で実用レベルに達していませんが、もしも自動運転が使われるようになったら長距離走行も楽になりますね。
AIは学習して未来を予測するので、導入して即戦力になるわけではありません。しかし今まで勘にたよっていた部分をデータベース基づいて、エビデンスのある予測をするため信頼度は上がります。
AIが仕事をするというのは未来の話のように感じていましたが、大手企業では積極的に取り入れられています。AIと共に物流業界が発展することが、ドライバーの人材不足の改善に繋がると考えられますね。
積極的に運送会社は自社の魅力を発信する
そしてこれだけでは不十分です。採用専用ホームページに就職を希望する者を誘導するための宣伝も必要です。インターネットの広告が成果が見込めます。
より効果を出すにはリスティング広告が確実です。リスティング広告とは、検索サイトで検索した結果と共に表示される広告のことです。日本ではヤフーやグーグルが行っています。インターネットを通じて検索する人は実に多いですので、かなりの多くの人の目に入るでしょう。
しかもリスティング広告をするには、一定のスキルが必要であることと、以外に知られていないということもあって行っている会社が少ないです。ですので、ドライバー業界は今こそ取り入れると他社と圧倒的な差をつけることができるでしょう。
このように、求人を募集している会社は、意識改革をして徹底的に自社をプロモーションしていくと今よりも就職を希望する者が増えていくでしょう。
ドライバー・運転手の人手不足問題の原因と対策③:若者の車離れ
最近の若い人はそこまで車に興味がないということです。電通の調査においても、車に興味があると答えたのは、2000年当時に比べますと、20代の男性で約30%、20代の女性で約24パーセント減少しています。
その理由として、経済的な問題があります。まず免許を取得するのに費用がかかりますし、その後の所有についても若い人にとっては大きな出費となります。そもそも運転することに関心を示す若者が減っているので、ドライバー職の希望者もおのずと増えていかないのです。
ドライバー・運転手の人手不足問題の原因と対策④:ドライバーの高齢化による引退増加
ドライバーの高齢化も人材不足の一因です。ドライバーの内約45%は40歳~54歳です。対して、29歳以下のドライバーは全体の中で約10%以下しかいません。半数近くがあと20年ほどで退職する年齢に達してしまいます。しかし現在の日本は少子高齢化という現状で、ドライバーになる若者が増えなければドライバーの数がこれからも減っていく一方でしょう。
ドライバー・運転手の人手不足問題の原因と対策⑤:運送会社の対策不足
就職を希望する者が集まらない理由や退職者が後を絶たない理由を分析し、データ化しないというのは、問題を無視していることと変わりません。これをしなければ、ずっと同じことの繰り返しになってしまいます。そして結果的に会社のダメージになります。
そうならないためにも、今一度会社が置かれている現状を再認識し、改善策を探るべく、まずはデータ化するべきです。地道な作業になりますが、将来を見据えて失敗をデータで残して、同じ失敗を繰り返さないことが非常に大切です。
また、プロモーションなりデータ化することをやみくもに始めず、計画を立てる方が効率的です。そしてデータ化することで満足することなく、未来に向けて改善するべき所は改善する等データを役立てることが大切です。そしてよい結果が生まれてきたら、またそれをデータ化することで負のスパイラルではなく、良いサイクルが出来上がるでしょう。
国がスタートしたトラック運送業の労働力不足解決への取り組み
国が施策に乗り出し、厚生労働省と国土交通省が連携して問題解決に向けての取り組みを開始しました。具体的な施策の内容についてみていきます。
トラックドライバーの育成と雇用管理制度
一つ目は人材不足と育成についてです。総務省の労働力調査によりますと、トラックドライバーは全国でおおおそ180万人で推移しています。
注目すべき点は、このドライバーのうち、若手の人口が他の業種に比べて、圧倒的に少ないということです。また、40代から50代の占める割合が他の業種に比べると突出しています。これは、これからの展望として、更に高齢のドライバーが増える一方で、若年層のドライバーがより減少するという、年齢構成のアンバランスを示しています。
そして、女性就業者の割合が他の業種よりもはるかに少なく、全ドライバー就業者のうちの約2パーセント強となっています。女性の社会進出や活躍が国を上げて叫ばれている中、時代に逆行しているといえます。
それでは有効求人倍率についてはどうでしょうか。昨今の景気回復により、有効求人倍率は上昇していて、慢性的な人材不足を示しています。そして雇用管理制度の導入の割合が他の業種よりも下回ってしまっています。このようなトラックドライバーの状況を深刻に受け止め、様々な改善策を提言しています。
そしてこのような問題を改善するべく取り組みの始めとして、雇用管理制度の導入の支援を取り上げています。これはどのような制度かといいますと、雇用者の評価をしっかり行ったり、研修を実施したり等があります。そして実施した結果として、離職率の低下に成功した場合、助成をしてくれるというものになっています。
他にも、トラックドライバーの就職希望者を増やすために、公益財団法人全日本トラック協会と協力のもと、運送業者が利用できる助成制度のパンフレットを作成する等して、制度の周知に努めています。これらの取り組みは厚生労働省が行っています。
国土交通省も取り組みを始めています。例えば社会保険に加入させない等の不適正事業者に対する指導を強化したり、不適正事業者を増やさないように、新規参入事業者には厳しいチェックを課しています。また就職希望者を増加させるために、積極的に学校訪問にも力を入れています。その他、若い人の人材確保をより強化するための中型免許制度改革にも対応しています。
トラックドライバーの労働環境改善に向けた取り組み
もう一つの問題にも触れていきます。労働環境の改善です。
まず一つ目は労働時間の長さです。国土交通省の調査によりますと、トラックドライバーの労働時間は、他の業種に比べ約1割から2割長いです。残業においては他の業種の約2から3倍の長さです。にも関わらず、年間賃金は他の業種よりも約1から3割少ないです。このような問題点を解決すべく、様々な改革が行われています。
まずは短い時間で計画的に運ぶということを目標に置いています。労働時間を長くしている原因の一つ、荷待ち時間を記録してデータ化し分析することにより、効率化を図ります。次に掲げている目標としまして1運行の荷物を増やすということです。これは、トラックを2台連結させて、1度に運べる量を増やして人材不足の解消に役立てるというものです。トラックを2台連結のすることの許可を出すべく、特車許可基準の見直しも検討されています。
ドライバーの長時間勤務を減らすために、中継輸送の普及も同時に挙げられています。中継地点を置く事で長距離移動を減少し、日帰り勤務が増えます。
他にも、女性が働きやすい環境づくりに励んでいます。女性トラックドライバーをトラガールと呼び、女性の活躍を目指して支援しています。女性の働き方の配慮として、荷物の配達限定の業務内容にしたり、大きな荷物が担当にならないようにしたりしています。他にも産休や育休がとりやすいように利用を勧めたり、女性同士の配属にしたり等工夫をしています。
トラック運転手の労働生産性改善に向けた荷待ち問題と再配達解消の取り組み
ドライバーの長時間労働の原因の一つに荷待ちがあります。荷待ちとはトラックに荷物を積んでいる間にドライバーが待機している事です。
たとえドライバーが迅速に荷物を運んだとしても、集荷場で荷物をいれる時間が長引いてしまうと、ドライバーは労働中であっても待機するしかありません。そのため積み込みの機械化の促進や受付システムの導入を進めています。
また宅配ドライバーに対しては宅配ボックスの設置を促して、再配達の減少を進めています。さらに国としても物流の効率化やモーダルシフト、貨客混載などを勧めています。
ドライバーの労働時間の見直しや運送システムを改善し、運送業をホワイト化する政策として荷待ち問題への処方箋もあります。今まで無理な長時間労働による事故や病気など問題に挙げられていました。そこで平成29年から30分以上の荷待ちは記録の対象となりました。業務時間の記録を義務化し、悪質な労働環境を減らしていく方針ですね。
トラックドライバーのイメージ改善に向けた業界と国で取り組んでいること
過酷で大変というイメージが多く残るドライバーを増やすために、業界全体で様々な取り組みが行われています。例えば、国土交通省は若年層や女性の活躍促進に向けて、業界イメージの改善や官民連携による積極的な情報発信、経営者の意識改革に向 けた啓発強化を図っています。
トラガールを増やしていくという試みでは、育児中の女性がドライバーとして働き、無理なく家庭と両立しながらやりがいを発見したという事例の紹介を行ったり、高等学校に出向き、この職種のやりがいを伝えるなどの情報の発信を行っていたりしています。
運行管理者がITを駆使して、効率的な運航計画を組むことも1つの方法でしょう。
その他にも、そもそももっと給与をあげるために、デフレ化が加速している物流業界全体の価格調整など、国としても取り組んでいるところになります。
移民法の改正や外国人のドライバーへの採用
運送業に限ったことではありませんが、2019年1月には改正入管難民法が施行されることとなりました。その結果、外国人労働者が増える土壌が整い、高度専門人材に限って受け入れを許容していたところから、単純労働にも門戸が広がったと言えます。
ただし、ドライバーには各種の運転免許が必要なこともあり、また言語の問題などもあることからすぐに効果を期待することは出来ません。他方で、荷物の積み下ろしのスタッフなどは、比較的ポジティブな効果が期待できるかもしれません。
自動運転やAIによる人手不足の解消
2017年位から日本だけでなく世界各国で自動運転やAIを使った自動化の流れがきており、国もそれらを推奨する方針でいます。これには主要トラックメーカーや乗用車のメーカーだけでなく、あらゆる運送会社が興味を示しているところです。
ただし、道路交通法や安全性の問題などもあることから、一朝一夕な改善は難しいでしょう。
厚生労働省や国土交通省の協力に加えて自分たちも努力を
このように、国は厚生労働省や国土交通省の協力の元、トラックドライバーの危機的状況を打破すべく様々な取り組みに着手しています。まだまだ、全面的な解決には至っていませんが、少しずつ成果が出始めているのは事実です。トラック業界においては、厳しい状況が続きますが、国の協力、支援を受けながら現状をしっかり受け止め、人材確保や育成、労働環境の改善の取り組みを続けることで、問題解決を目指していくことがとても大切です。
ドライバー職というのは、不景気の時ですと少し就職を希望する者が増えますが、それ以外の時はなかなか集まらないのが現状です。また、せっかく採用してもすぐに辞めてしまうことが少なくありません。この繰り返しは負のスパイラルといえるでしょう。慢性的な人材不足を抱えているドライバー職ですが、何か改善策を見つけていかないと、せっかく需要があっても人手が足りずに仕事を引き受けられないということにまでなってしまいます。これでは、ドライバー職の発展を見込むのは難しいでしょう。ドライバー職の改革が急務となっています。
運送業の人手不足は若手の減少と高齢化ということがわかりました。しかしそれに反比例してドライバーの需要は今後も高まるでしょう。国を挙げて運送業界のシステムを改善に乗り出したということは、ドライバーの仕事が今後は変わっていくのかもしれません。業界全体がホワイト企業になれば若者や女性の働き手も増えてくるでしょう。
「働いても給料や条件があまりよくならない」、「体力的にも労働時間もしんどくなってきた」、「将来が不安」、でも”いい仕事ってないよなぁ”と感じたりしていませんか?
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人材紹介サービスはどの会社も転職希望者に費用は発生しないので(採用企業がコストを支払うため)、気になった方は話だけ聞いてみるのもアリでしょう。