ミキサー車(生コン車)とは
ミキサー車(生コン車)の役割
ミキサー車の役割は、コンクリートの原料となる生コンを、工場から現場まで品質を落とさず時間どおりに運ぶことです。水、セメント、骨材、混和剤を混ぜて作られる生コンはドロドロの状態ですが、数時間で固まってしまうため、輸送中もドラムを回転させています。
一般的にはミキサー車と総称されますが、土木・建設業界では既成の生コンを攪拌しながら運ぶ車両をアジテータ、原料を練り上げながら運ぶ車両をミキサー車と呼び分けます。現在の主流は品質志向でアジテータです。
また、ミキサー車は土木建築の現場では生コン車と呼ばれたり、業種によっては移動式ミキサ、トラックミキサ、アジテータ・トラック、アジ車と呼ばれることも多いです。

ミキサー車(生コン車)の車種
組み合わせ次第で多様な車種が存在するミキサー車の構造は、トラックシャシーの上に攪拌・排出装置などの架装を合体させた作りです。したがって、ミキサー車の走行性能はトラックメーカーの機種に依存し、作業性能は架装メーカーの仕様が反映されます。
トラックメーカーは日野、三菱ふそう、いすゞ、UDの4社、架装メーカーはカヤバ、新明和工業、極東開発工業の3社が有名です。トラックは小型、中型、大型の機種が存在しますし、中型トラックを増トンした大型相当のミキサー車も中古市場で人気です。以上の要素を考慮するだけでも、ミキサー車の車種は数十種類もあることが分かります。
ミキサー車(生コン車)の歴史
ミキサー車の歴史は古く、現行型の原型となるドラム回転方式が考案されたのは1952年です。以前は現場で練るか、ダンプで運ぶ荒っぽい方法しかありませんでした。その後、日本の経済成長に伴う建設工事の増加やビルの高層化が進み、高品質のコンクリート需要が急増しましたが、ミキサー車は機能面の改良を重ねながら生コンの供給拡大に貢献してきました。
ミキサー車とポンプ車
コンクリートの材料となる生コンは、ミキサー車によって製造プラントから現場付近まで運び込まれます。しかしサイズの大きなミキサー車では、実際の施工箇所までは進入できない場面も多いです。
このようなときに活躍するのがポンプ車です。搭載された強力な油圧ポンプと長いホースで生コンを圧送し、正しい位置に適切な量のコンクリートを流し込む作業(打設)をポンプ車が担当します。コンクリートポンプ車を使った仕事のことをコンクリート圧送業といい、ミキサー車の事業者とは別会社です。現場では両社が工事事業者らと連携を取りつつ、適切なタイミングを見計らって速やかに作業を行います。

ミキサー車(生コン車)のサイズ
様々な寸法のミキサー車(生コン車)が存在する
ミキサー車(生コン車)の寸法は小型から中型・大型まで様々ですが、業務に合ったサイズの車両を選びことが重要です。
大きなトラックであれば少量の荷物でも運搬は可能ですが、ミキサー車については、『大は小を兼ねる』とは言い切れません。狭小な工事現場ではポンプ車への橋渡しすらできませんし、コンクリートが多すぎても無駄が出ます。だからこそ、必要な積載量やボディサイズに応じて、小型から大型まで様々な寸法のミキサー車が活躍しているのです。
ミキサー車(生コン車)の寸法一覧表
ミキサー車のメーカー別車両寸法(長さ、車幅、高さ)を、生コン車製造メーカーとして有名な新明和工業、カヤバ(KYB)、極東開発工業、の3トン~10トンミキサーの諸元表で比較すると、長さは5mから9m超まで、横幅は1.8mから2.5m、全高は2.8mから3.8mまでと幅広いことがわかります。
最大積載量 | メーカー | 全長 | 全幅 | 全高 |
3t(2tは該当無し) | 新明和 | – | – | – |
カヤバ | 5,290mm | 1,880mm | 2,835mm | |
極東開発 | 5,290mm | 1,880mm | 2,805mm | |
4t | 新明和 | 5,900mm | 2,200mm | 3,060mm |
カヤバ | 5,790mm | 2,180mm | 3,010mm | |
極東開発 | 5,815mm | 2,190mm | 2,980mm | |
8t | 新明和 | 6,490mm | 2,270mm | 3,380mm |
カヤバ | 6,340mm | 2,300mm | 3,275mm | |
極東開発 | 6,330mm | 2,300mm | 3,275mm | |
10t~ | 新明和 | 7,880~7,970mm | 2,490mm | 3,690mm |
カヤバ | 7,900~9,100mm | 2,490mm | 3,700~3,770mm | |
極東開発 | 7,895~9,035mm | 2,490mm | 3,680~3,760mm |
生コン会社が使用しているミキサー車(生コン車)のサイズ詳細によれば大型(10t)、中型(5t)、小型(4t)、によって大きな開きがありますが、幅は2m台、長さは5m~7m台、高さは3m台となります。


ミキサー車(生コン車)のサイズ別の回転ドラムの積載容量
ミキサー車の積載量別ドラム容量と最大混合容量は次のようになります。
最大積載量 | ドラム容量 | 最大混合容量 | ドラム長さ | ドラム最大径 |
3t(2tは該当無し) | 2.5㎥ | 1.2㎥ | 2,430mm | 1,400mm |
4t | 3.2㎥ | 1.6㎥ | 2,460mm | 1,600mm |
8t | 6.3㎥ | 3.2㎥ | 3,100mm | 1,900mm |
10t~ | 8.3~9.8㎥ | 4.2~5.0㎥ | 3,360~3,800mm | 2,100mm |
上表はカヤバ工業のカタログ値ですが、架装メーカーによる差はほとんどありません。特に、極東開発工業は2006年からカヤバ工業のOEMを受けており、サイズ表記は同一です。
目安として、生コンの最大投入量はドラム容量の半分弱までと見てよいでしょう。ただし、生コンの比重は用途によって異なるため、同体積=同重量とは限らない点に注意です。
各サイズのミキサー車(生コン車)が通れる道路幅
道路幅を事前に確認する必要がある
ミキサー車の多くは大型トラック並のサイズなので、ルート確認以外にも道路幅やカーブ角の事前調査が必須です。
道路を直角に曲がれる最小幅を所要道路幅といい、算出の根拠となるのが車両寸法を元に作図された旋回軌跡図です。ただしこれらは計算上の数値なので、通行可否の判断には0.4~1m程度の余裕を見てください。
もっとも、ミキサー車は生コンを90分以内に届けるJIS規格の責務があるため、時間に余裕がありません。現場近くで立ち往生していてはドライバー失格です。
各サイズ のミキサー車が通れる道路幅一覧表
ミキサー車のサイズ別の所要道路幅と実際に通行できる道路幅の目安一覧です。運行計画の立案時は実車データと現場状況を踏まえて慎重に判断しましょう。
サイズ(最大積載量) | 所要道路幅 | 実際に通過可能な道路幅 |
2t~3t | 3,300mm~3,900mm | 4m~4.4m |
4t | 4,000mm | 4.5m |
8t | 4,500mm | 5m |
10t~ | 5,000mm以上 | 5.5m以上 |
道路幅が狭くてミキサー車(生コン車)が通れない場合はどうすべきか?
別のルートを探す
生コンの製造工場から現場までのルートを決定する際、最短コースが最適とは限りません。
車両サイズに配慮して狭小な道が含まれるルートは避け、確実重視で道路幅に余裕のある幹線国道などを軸に経路を再設定しましょう。道路工事や交通集中による混雑状況の予測や把握も必要です。
延着が厳禁のミキサー車ドライバーには正確な情報収集能力が求められます。
小さめのサイズのミキサー車を利用する
仮に道路幅が狭く、いつものミキサー車が通過できない恐れがある場合は、面倒がらずに一回り小さなサイズのミキサー車の選択をおすすめします。
車体が小さくなるとドラム容量も小さくなるため、1度で必要量を供給できないかもしれませんが、分割輸送か複数台輸送でしのげることもあります。ちなみに最小クラスは2tミキサー車です。
軽トラックに積み替えて運ぶ
DIYや庭工事に使用する程度の生コンであれば、ミキサー車から軽トラックに積み替えて運ぶ手段もあります。平ボディの荷台にブルーシートを敷き詰めて簡易容器とします。
軽トラックのサイズであれば道路幅を気にすることなく運搬できますが、より短時間で品質が落ちるため、現場に運び終えたら速やかに使い切りましょう。
一輪車を利用して人力で運ぶ
軽トラックのサイズでも通過できない道路幅に遭遇したとき、もしくは少量のコンクリート打設が必要なときは、ミキサー車から一輪車に生コンを乗せて人力で運搬します。
ただし重量配分にはくれぐれも注意してください。生コンの比重は約2.3。つまり水より2.3倍も重いのです。足場の悪い現場で一輪車のバランスを崩すと思わぬ怪我の元になります。
ミキサー車(生コン車)の運転に必要な免許/資格
必要なのは運転免許だけ
ミキサー車は特殊用途自動車(8ナンバー)の分類ですが、運転に必要な資格は車両区分に応じた運転免許のみです。サイズの大きなミキサー車でも大型免許があればOKです。ミキシングドラムの操作も可能です。
一方、名称が似た免許として大型特殊免許がありますが、こちらは移動式パワーショベルやブルドーザーといった走行よりも作業目的で使われる大型特殊自動車(9ナンバー、0ナンバー)を運転するための免許です。ゆえに、大型特殊免許ではミキサー車の運転はできません。
ミキサー車(生コン車)に必要な運転免許一覧表
ミキサー車のサイズ分けは、他トラックと同様に大きさよりも積載量で区分されます。いわゆる『○t車』の数値は最大積載量を表します。運転免許区分も下表のように重量別です。
車両総重量 | 最大積載量 | |
普通免許 | 3.5t未満 | 2t未満 |
準中型免許 | 7.5t未満 | 4.5t未満 |
中型免許 | 11t未満 | 6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
ちなみに、限定免許が示す数字は車両総重量なので注意です(5t限定準中型免許の最大積載量は3t未満、8t限定中型免許の最大積載量は5t未満)。
積載容量よりも積載重量に注意!
生コンドラムの積載容量は体積表記ですが、運転免許の車両区分は重量表記です。そして生コンは砂利や鉱物を含む重量物でもあります。つまり、容積だけに気を取られていると、免許条件違反になりかねないので要注意です。
ミキサー車の積載容量は標準的な生コン比重から換算した限界値です。過積載防止のため、目視だけで判断せず重量もチェックしましょう。
それぞれの運転免許の取得情報(費用、期間、条件等)
大型免許の取得情報
大型ミキサー車向けの大型免許の取得については次のようになっています。
大型免許の取得条件
- 21歳以上
- 他の四輪免許(MT普通免許等)取得者で3年以上の運転経歴があること
- 両眼視力0.8以上、片眼0.5以上
- 深視力検査に合格(誤差2cm以内)
- 聴力、運動能力、色彩識別能力(赤・青・黄)に問題がないこと
大型免許の取得期間(合宿免許)
- 最短13日:普通免許保有者の場合
大型免許の取得費用(合宿免許:税抜)
- 約23万円:普通免許保有者の場合(教習所は約28万円)
中型免許の取得情報
中型ミキサー車向けの中型免許の取得については次のようになっています。
中型免許の取得条件
- 20歳以上
- 普通免許、準中型免許、大型特殊免許のいずれかを取得後2年以上の運転経歴
- 両眼視力0.8以上、片眼0.5以上
- 深視力検査に合格すること
- 聴力、運動能力、色彩識別能力に問題がないこと
中型免許の取得期間(合宿免許)
- 最短8日:普通免許保有者の場合
中型免許の取得費用(合宿免許:税抜)
- 約18万円:普通免許保有者の場合
- 約15万円:5t限定準中型免許保有者の場合
準中型免許の取得方法
小型ミキサー車向けの準中型免許のの取得については次のようになっています。
準中型免許の取得条件
- 18歳以上
- 両眼視力0.8以上、片眼0.5以上
- 深視力検査の合格
- 聴力、運動能力、色彩識別能力に異常なし
準中型免許の取得期間(合宿免許)
- 最短18日:他免許なしの場合
- 最短6日:普通免許保有者の場合
準中型免許の取得費用(合宿免許:税抜)
- 約35万円:他免許なしの場合
- 約15万円:普通免許保有者の場合
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