ドライバーの健康管理
ドライバーの連続運転時間と休憩時間とは
ドライバーの拘束時間は1日につき13時間が原則となっています。ただし、13時間ずっと運転し続けることは認められません。なぜなら、長時間運転を続ければ集中力が失われて事故に繋がる可能性があり、健康管理上も悪影響が出る恐れがあるためです。
そこで、厚生労働大臣が定めた改善基準告示により、ドライバーの連続運転時間4時間が限度と決められています。よって、ドライバーは必ず4時間ごとに30分以上の休憩を取らなければなりません。
なお、休憩時間は必ずしもまとめて取る必要はなく、2、3回に分割することも可能です。このとき、1回の休憩時間は10分以上である必要があります。休憩を挟めば再び運転することができるようになりますが、その労働時間にも限度が定められています。
具体的には、ドライバーの2日間の運転時間の平均は9時間以内とされています。つまり、1日目に6時間運転したとすれば、2日目は3時間しか運転ができません。運行管理者はこれらのルールを理解した上でスケジュールを組む必要があります。
ドライバーの労働安全衛生法に基づく健康診断とは
ドライバーの健康管理のため、労働安全衛生法により3種類の健康診断が義務付けられています。
雇い入れ時の健康診断
雇い入れ時健康診断は労働者を雇用するときに必要なものです。ただし、労働安全衛生規則43条に定められたこの健康診断は、過去3ヶ月以内に健康診断を受診し結果を提出していれば重複する項目の診断は不要とされます。
定期健康診断
定期健康診断は1年に1回必要です。基本的にどこの企業でも行っていますが、実施時期に差があったり、病院によって判定基準が異なることがあります。
そのため転職したばかりの従業員は、前回まで一度も要再検査となったことがなく、かつ前回と同じ結果なのに定期健康診断で再検査が必要になることもあり得ます。その人が健康に自信を持っていた場合は戸惑うこともあるかもしれません。
特定業務従事者の健康診断
特定業務従事者の健康診断は、雇い入れ時や配属時、および半年に1回の定期的な実施が必要です。この特定業務従事者の健康診断は深夜業を含む業務に従事させるときに必要です。
なお、ここでいう深夜業とは22時から5時の時間帯を指します。長距離を運転するドライバーはこの時間帯に働いている人が少なくないため、受診を忘れないようにしましょう。
ドライバーの健康診断は年2回が多い
多くの企業ではドライバーの健康診断を年2回行っています。定期健診が年1回、特定業務従事者健診が年2回です。
定期健診と特定業務従事者健診との検査項目は同じなので、1回の受診で2つを兼ねることができます。
ただし、2回の検査の内容は異なります。胸部エックス線検査は1年ごとに1回で良いほか、貧血検査等一部の検査は医師の判断によって1年に1回で良いとされます。
ドライバーの健康起因事故
ドライバーの健康状態に起因する事故は増加の傾向にあります。平成28年に起こった健康起因事故の運転者数は、バスで161人、次いでトラックが75人、ハイヤー・タクシーが68人でした。そして、そのうち死亡した運転者数は、トラックが最多の34人、次いでハイヤー・タクシーが12人、そしてバスは1人です。
事故の原因となった病名は脳疾患、心疾患、大動脈瘤及び乖離の3つで全体の3割を占めています。さらに、死亡事故の原因としてはこれら3つが9割を占めており、大変危険性が高いことが分かります。脳・心臓・血管系の健康起因事故を防ぐための対策が必要です。
トラックドライバーの健康診断項目
トラックドライバーの健康診断項目はまとめると以下の通りです。
- 既往歴および業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
- 胸部エックス線検査および喀痰検査
- 血圧の測定
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
このうち、身長は20歳以上ならば省略できます。腹囲や聴力、胸部エックス線、喀痰検査についても、年齢やその他医師が認める基準に基づき省略できることがあります。
また既往歴を確認することにより、現在り患している病気以外にかかりやすい病気を判断することができます。このことは、今後数値の悪化に伴う病状の悪化を防ぐために役立ちます。
タクシードライバーの健康診断項目
タクシードライバーの健康診断項目はトラック運転手と同じです。
しかしタクシードライバーの平均年齢は58.7歳とトラックやバスのドライバーよりも高齢のため、注意が必要となるのが高血圧です。
高血圧自体には自覚症状がなく認識しづらいですが、放置していると健康起因事故の大きな原因となっている心疾患等の重大な病気につながる可能性があります。
そこで、健康診断項目の1つとなる血圧検査が重要です。最高血圧160mmHg以上、最低血圧100mmHg以上あれば高血圧症や動脈硬化症、脳卒中等につながるかもしれず、治療が必要とされます。健康診断で自分の現状を把握し、改善のための対策を取ると良いでしょう。
バス運転手の健康診断項目
バス運転手の健康診断項目もトラックやタクシーの運転手と同様です。
既往症や高血圧等に十分注意する必要があります。特に観光バスや高速バスは長時間運転することが多く、ドライバーの体調管理が課題となりがちです。
居眠り運転による事故も相次いでいます。特に睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、2012年に群馬県藤岡市でバス運転手が発症し防音壁に衝突した結果7名の死亡者と38名の重軽傷者が出る等、多くの被害をもたらしています。
残念ながら、一般健康診断でSASに気づくことは困難です。そのため、企業によってはSASの検査を通常の健診とは別に実施しています。適切な治療を行うことで、SAS患者であっても健康な人と同じように安全運転を続けていくことが可能となります。
運転手の健康診断の義務違反
ドライバーに健康診断を受診させることは企業にとって義務です。これを怠れば労基法違反となり事業者は50万円以下の罰金に処せられます。
また、常時50人以上を使用している事業者は、健康診断の結果を労働基準監督署に届け出なければなりません。
つまり、事業者はドライバーに健康診断を受けさせていないと、労働基準監督署から運輸局へも通報され、2つの機関からチェックされることになります。
企業には運転手に対する安全配慮義務があります。これは、運転手が安心して働けるよう、企業が労働者の安全や健康に気を遣うべきとするものです。健康診断を受けさせていない運転手が重大な事故を引き起こしたりすれば、企業は安全配慮義務違反による賠償責任を問われる恐れがあります。
運転手の定期健康診断の対象者
健康診断の対象労働者は正社員の運転手だけに限りません。契約社員やパート等であっても、1年以上継続して雇用している、または雇用が見込まれ、かつ1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば健康診断の対象となります。
ただし派遣社員の場合は、派遣先企業ではなく派遣元企業によって健康診断を受診させる必要があります。
たとえ労働時間が限られていても、顧客の荷物や乗客の人命を預かる責任の大きな仕事であることは正社員と同じです。安全に業務を遂行するため、健康診断や日々の健康管理は欠かせません。
運転手の健康診断の費用は誰が負担するのか
運転手の健康診断の費用負担について直接法律による規定はありません。
ですが、労働者に健康診断を受けさせることが企業の義務とされている以上、原則として企業が負担するものとされています。一般健康診断の費用は、地域や省略できる項目にもよりますが4,000~10,000円程度です。
費用のほか、運転手がいつ健康診断を受けるのかも問題とされがちです。
必ずしも勤務時間内である必要はありませんが、勤務時間外の行動を指示されたとしても運転手が従うとは限りません。確実に健康診断を受けてもらうためには、企業が管理可能な勤務時間内に交代で健康診断を受けさせるのが得策だと言えるでしょう。
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