バルク車とは
バルク車とは、粉状や粒状のものを未梱包のまま運搬できる専用車両のことです。
個性的なタンク形状や排出の仕組みから、ホッパー車、バルクローリーやエア車とも呼ばれますが、法的には粉粒体運搬車と定義されています。
運搬物は、工業製品や化学薬品の原料に加え、食品・飼料粉末など各産業に及びます。
一方で、液体を運ぶバルクローリーもあります。代表的なものは、LPガス(液化石油ガス)の運搬車です。タンクローリーとの違いは、消費施設へガスを充填できるポンプ等の装置を持つことです。
バルク車の種類
飼料運搬車
バルク車のうち、家畜飼料の輸送を専門に行うトラックを飼料運搬車といいます。
養豚業や養鶏業で消費する配合飼料は、品種や成長に合わせて使い分けます。種類の違なる飼料をまとめて運搬できるよう、複数の部屋で区切られたタンクを持ちます。
納品先のサイロは高所に投入口がありますが、飼料を余すことなく排出できるよう、内部にスクリューコンベアが搭載された折りたたみ式の長いブームを搭載しています。
装置内部の残留飼料を軽減するエアークリーニング機構も開発されています。
エアスライド式
バルク車が短時間で内容物を排出できるのは、2種類の空気輸送方式を採用しているからです。このうち、エアスライド式は粉粒体と圧縮空気を混合してスムーズな排出を実現します。
タンク底からコンプレッサーで発生させたエアを送ると、粉末同士の摩擦力が減少して流動化し、液体に近い振る舞いをします。流れるように傾斜胴タンクの底にある排出バルブに集まった粉末が、内部圧力によって排出される仕組みです。
エアスライド式に適した積荷は、フライアッシュなどの微粉末です。
エアレーションブロー式
もう一方のエアレーションブロー式は、粉末を流動化させるエアスライド式とは種類が異なり、バルク車のタンク底から粉粒体を直接吸引する仕組みです。
急傾斜のホッパー型タンク内を、粉粒体が自重で滑り落ちるよう設計されています。タンク底の複数箇所に設置されたセラー式排出口に集合した粉末を、大容量コンプレッサーで発生させた強力な空気圧で排出します。
石灰や燃料チップ、飼料等の粗粒子からバラセメントに至るまで、幅広い粉粒体の輸送に対応する汎用性の高い排出方式です。
セミトレーラー
排出機構の異なる2種類のバルク車を紹介しましたが、車両タイプでも複数の種類があります。
多くはトラックシャシーですが、なかには連結部を持つトレーラーもあります。バルク車セミトレーラーは、タンク架装を施したセミトレーラーをセミトラクターが牽引するタイプで、高い積載能力を誇ります。
バルク車トラックの最大積載量は12t前後ですが、バルク車セミトレーラーは20t台の搭載が可能です。
大農場への飼料配送や、港から中継拠点まで輸送するセメント配送車として活躍します。
ダンプ併用式
ダンプ機能を持つバルク車もあります。ダンプトラックと同様に、荷台底に搭載されたシリンダから発生した油圧でピストンロッドを伸長させることで、荷台に角度をつけて排出します。
粉粒体の性状に合わせて傾斜を適切に制御することで、タンク内部の粉粒体は後方の排出用バルブ付近へと滑り落ち、効率的に回収・吸引・排出が可能です。
ダンプ併用式バルク車の種類には、通常のフルダンプ車に加え、タンク底にエアスライド機構を備えたセミダンプ車も存在します。
バルク車の運転手(ドライバー)の主な仕事内容
バルク車の運転手(ドライバー)が担当する仕事内容は、トラックでは運搬が困難な形状を留めない物品を、工場まで輸送する業務です。
主な輸送品目の一つは畜産飼料です。家畜に与える粉末配合飼料を、飼料工場から各畜産農家へ運搬する仕事です。
続いてはコンクリート原料のバラセメントです。海上輸送されたセメントを中継地まで運んだり、中継地から消費地に運ぶ仕事です。
バルク車が運ぶ荷物は製品の原材料が中心です。延着は生産現場に多大な迷惑がかかるので責任重大です。
バルク車の運転手(ドライバー)の1日の仕事の流れ
農場まで飼料を運ぶバルク車運転手(ドライバー)の1日の仕事の流れを紹介します。
6時半 | 出社。点呼・車両点検。輸送内容とスケジュール確認 |
7時 | 積込み地に向けて出発 |
積込み地に到着。本日配送予定の飼料を積載し、農場Aまで輸送 | |
農場Aへ到着。サイロに納品完了 | |
続いて農場B→農場Cに向かい順番に納品 | |
15時 | 帰社。タンク内清掃、運行記録の記載 |
16時 | 退社 |
バルク車の運転手(ドライバー)の仕事の魅力
重い荷物の手積み手下ろしがほとんどない
バルク車には、ブロータンクと呼ばれる圧送装置が搭載されているため、仕事では積み下ろし作業が楽なところが魅力です。
たとえ10トンのグラニュー糖を積んでいても、投入口にノズルを接続すれば、あとは機械操作でスムーズに搬出可能です。他のトラックの仕事で経験するような手積み手降ろしの力仕事はありません。
つまり、バルク車の運転手(ドライバー)の仕事は、体力に自信のない方や女性でも活躍できる職種だといえます。
一人で仕事する時間が多い
見習い実習では先輩ドライバーが同乗することもありますが、バルク車で輸送を行う仕事は基本的に一人で行います。
配送ルートはほぼ固定ですし、長距離の仕事でもないため、同業他社のトラックドライバーと交流する機会は少ないです。逆に言えば人間関係について悩む必要がなく、一人の時間を楽しめる点がバルク車運転手(ドライバー)の魅力です。
バルク車の運転手(ドライバー)の仕事のきついところ
朝が早い
バルク車の仕事で共通するのは、朝が早いという点です。
バルク車がよく運ぶ品物は、製造に使われる材料や、農場で鶏・豚に与える飼料です。材料が無ければ生産が始まらないので、始業前の納品が必須ですし、農場も夜明け前から稼働しています。
バルク車の運転手(ドライバー)は朝が早い分、終業時間も早いですが、夜型の人にはきついでしょう。
臭いが気になることもある
バルク車には粉塵の飛散を最小限に抑えた圧送装置と気密性に優れたタンクがあるので、臭いに関しては、運転手(ドライバー)が過剰に心配する必要はありません。
もっとも、配合飼料の中には独特の臭いがするものがあり、仕事がきついと感じるときもあります。しかし作業中は防疫用の防護服を着用するため衣類は汚れませんし、臭いの吸着予防にもなります。
バルク車の運転手(ドライバー)の仕事の給料/年収
複数の大手求人サイトの情報をまとめると、バルク車運転手(ドライバー)の給与水準は、
- 中型バルク車運転手の月収が約22万円~30万円
- 大型バルク車運転手の月収は約25万円~35万円
です。
それぞれ年収換算すると、
- 中型バルク車運転手が約310万円
- 大型バルク車運転手が約360万円
となります。
実際に受け取る給料額は、運行手当などの諸手当や賞与が加わることもあるため、大型バルク車の仕事であれば年収400万円を超えることは難しくありません。
バルク車の運転手(ドライバー)の仕事の労働時間/残業
バルク車運転手(ドライバー)の仕事時間は、8時間~10時間のシフトで組まれています。
年260日勤務で計算すると、バルク車運転手の年間労働時間は約2,300時間となり全産業平均を上回りますが、大型トラック運転手の2,580時間よりは少ないです。
繁忙期には残業もありますが、荷待ちが無い分、拘束時間は一般のトラック運送業よりも短い傾向です。
バルク車の運転手(ドライバー)の仕事の休日/休暇
バルク車運転手(ドライバー)の休日待遇は、配送を担当する契約先の休業日と合わせるため、運送業界の中では比較的恵まれています。
GWや盆休み、年末年始には連休も取得できます。その他の休日は、日曜祝日だけの会社もあれば、完全週休二日制の会社もあります。もちろん有給も取得可能です。
定期的な休日を確保したい人はバルク車の仕事がおすすめです。
バルク車の運転手(ドライバー)の仕事の福利厚生
一般的なバルク車運転手(ドライバー)の仕事の福利厚生についてまとめます。
- 年1回の昇給制度
- 社会保険完備(完備とは健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の4つにすべて加入した状態)
- 有給休暇制度
- 交通費支給
- 無事故手当
- 資格取得支援制度
他にも退職金制度や財形制度を実施する会社もあります。福利厚生が充実した会社は定着率も高いです。
バルク車の運転手(ドライバー)になるために必要な資格/免許
運転免許は必要
バルク車の運転手(ドライバー)として働く上で取得しておきたい免許は大型自動車免許です。ドライバー求人サイトで『バルク車 運転手』のキーワードで検索すると、いくつもの粉粒体輸送の仕事がヒットしますが、その多くは応募資格欄に大型免許の記載があります。
ただし大型免許が無くてもバルク車ドライバーへの道を諦める必要はありません。もしも求人詳細に『4tバルク車』の記載があれば、中型免許や8トン限定中型免許があれば運転できます。
つまり、バルク車の仕事をするために最低限必要な免許は中型免許です。大型免許があれば優遇され、多くの選択肢の中から条件の良い求人に出会えます。
牽引免許があると有利
通称トレーラー免許とも呼ばれる牽引免許は、大型免許と合わせて保有することで、すべてのトラックが運転できるようになる魅力的な免許です。
バルク車にもセミトレーラーやフルトレーラーといった、連結構造を持つけん引車両が存在します。
特に、バルク車でセメント輸送や飼料運搬運転手(ドライバー)の仕事に就きたいと考えている人は、大量輸送に特化したバルク車トレーラーに乗務する機会に恵まれやすいので、牽引免許も取得しておくと就転職で有利です。
積載物次第で必要となる資格もある
基本的にバルク車運転手(ドライバー)の仕事は、車両区分に適合する運転免許があれば業務が可能ですが、積載物が危険物の場合は、その量や性状に応じた法定資格が必要になるので注意しましょう。
危険物を運搬するバルク車といえば、プロパンガス(LPガス)を輸送するバルクローリーです。バルクローリーを使った仕事は、一人で大量の可燃性ガスを運ぶだけでなく、消費設備への供給作業も同時に行うため、求められる資格は高圧ガス移動監視者と、充填作業者の2つの国家資格です。
設備の点検・調査にも関わる業務であれば、保安業務員の資格を取得します。
バルク車の運転手(ドライバー)に向いている人の特徴
運転するのが好きな人
バルク車運転手(ドライバー)の仕事は、毎日配送するルートが決まっています。慣れてくると同じ道や同じ景色の繰り返しが退屈に感じる人もいるでしょう。
しかし、自動車の運転そのものを楽しめる人であれば、大型車両を操る面白さを感じながら仕事を続けられます。例えば、飼料運搬車で農場のぬかるんだ道を走行する場面でも、運転好きにとっては腕の見せ所です。
腕力に自信がない人
バルク車の荷降ろしは充てん装置を使って行うため、重い荷物を持ち上げたり、降ろしたりする力作業とは無縁です。
子育て中の30代や40代女性もバルク車運転手(ドライバー)として活躍していますし、70歳近い現役ドライバーも存在します。小さな体でも大きな荷物を右から左へ輸送できる楽しさを、バルク車の仕事は教えてくれます。
責任感がある人
ルート配送で決まった品目を運ぶことが多いバルク車の仕事は、運転手(ドライバー)1人に1台の専用車両が提供されることも珍しくありません。
マイトラックで仕事ができるという喜びだけでなく、身勝手に休むと代役は居ないという責任の重さにも気づくはずです。取引先からも信頼されるバルク車運転手になるには、責任感を持って仕事を続けることが大切です。
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