セミ トレーラーの通行許可
特殊車両(特車)の通行許可とは
車両の構造が特殊だったり、貨物が特別に大きいなどの理由で車両制限令に定められた制限値を超える車両のことを、特殊車両といいます。特殊車両(特車)の通行許可とは、特殊車両を使って通行する時に必要になる道路管理者の許可のことです。
道路法の下で定められた車両制限令では、橋やトンネルを含めた道路にかかる負担が大きくなりすぎないように、車両の幅や重量、長さなどが決められています。この数値を上回る車両が繰り返し行き来すると、道路や橋の寿命が設計値より大幅に縮んでしまうことになります。
道路は国民の共有財産であり、社会や経済活動に欠かせない存在として大事に扱う必要があります。しかし、こうした道路を傷めてしまうおそれがある体積が大きくて分解できない重量物なども、運搬するには道路を使って運ぶしか手段がない場合も多いです。
このため、事前にルートを申請して特殊車両通行許可を得れば一定期間の走行が認められるようになっています。
特殊車両の基準
車両制限令で定められた下表の数値を1つでも超えた車両は特殊車両通行許可が必要です。
車両制限令による最高限度 | |
長さ | 連結・積載走行時で12m |
幅 | 積載時で2.5m |
高さ | 積載時で3.8m(一部道路で最大4.1m) |
総重量 | 積載時で20t(重さ指定道路で25t) |
軸重 | 積載時で最大10t |
セミトレーラーの通行許可手続きの流れ
セミトレーラーは連結時の長さが12mを超えるものがほとんどなので、特殊車両通行許可申請は必須といえます。これには3つの方法があります。
自分で都道府県や政令指定都市の窓口に出向いて行う
市区町村の窓口でも申請は可能ですが、国道と県道など経路が複数にまたがるときの一括申請ができないので注意してください。
通行許可手続きの流れは以下のとおりです。
- 申請書や経路図、自動車検査証のコピーなどの必要書類を準備
- 窓口で申請受理
- 3週間から数ヶ月の審査
- 承認されれば条件付与の上、許可証の発行
なお、許可証の有効期限は2年です。
インターネットで特殊車両通行許可オンライン申請を申し込む
この方法では、国土交通省が管理する特殊車両通行許可システムを利用して申請します。
窓口に出向くことなく申請できて便利です。電子化されていますが、必要な情報は窓口申請と基本的に同じです。
行政書士事務所に代行を依頼する
書類の準備や手続きが面倒であれば、代理申請委任状を作成して専門の行政書士に任せるのも良いでしょう。
特殊車両の通行許可に違反したときの罰則
通行許可にまつわる決まりを守れなかったときは重大違反として取り扱われ、以下の罰則が適用されます。ドライバー本人だけでなく所属する会社も処分の対象となります。さらに違反を繰り返すと高速道路の大口割引が停止される厳しい措置が取られます。
セミトレーラーで走るルートが決まればきちんと許可を申請し、通行許可証の携帯も忘れないようにしましょう。
違反内容 | 罰則 |
無許可での走行もしくは許可証の不携帯 | 100万円以下の罰金 |
許可された制限値を超過した | 100万円以下の罰金 |
道路管理者の措置命令に従わなかった | 6ヶ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金 |
通行禁止もしくは制限されている区間を走行した | 6ヶ月以下の懲役 or 30万円以下の罰金 |
セミトレーラー連結車の駆動軸重の規制緩和
車両の大型化に対応した許可基準の見直しの内容
トレーラーが運ぶ貨物は年々増えつつあります。特に2軸のトラクターをけん引車として使うときは駆動軸重が足かせとなり、やむを得ずフル積載を諦め、わざわざ中身を減らして走行することもありました。
このため国土交通省はトレーラーの輸送力を増強するため、平成27年に道路運送車両法と道路法の一部を改正しました。その中の1つが駆動軸重の見直しです。
バン型など特例8車種のセミトレーラーをけん引するトラクターの駆動軸重の制限が従来の10tから11.5tまで引き上げられました。
道路に大きな負担のかかる悪質な違反者への取締りを強化しつつ、正しく道路を利用している大多数の利用者に対して基準を緩和することで、道路の保護と物流の効率化の両立を目指したものです。
駆動軸重の制限緩和の対象となる車両
駆動軸重の制限緩和はエアサスペンションを搭載した2軸のトラクターが対象となります。エアサスに限定しているのは、板バネを使った従来のリーフサスペンションよりも走行時に道路に与える負担が小さくなるからです。
被けん引車両の対象は特例8車種として知られる以下のセミトレーラーです。
- バン型
- タンク型
- 幌枠型
- コンテナ用
- 自動車運搬用
- あおり型
- スタンション型
- 船底型
セミトレーラーの全長と車両総重量の規制緩和
セミトレーラーの全長規制の緩和と特殊車両の通行許可
平成27年に改正された道路運送車両法では前述のトラクター駆動軸重の緩和に加え、長さや車両総重量についての保安基準の見直しも行われました。
まず長さについてですが、特例8車種のセミトレーラーの長さ(連結ピンから後端部までの距離)は従来の12mから13mへ引き上げられました。それに合わせて連結時の全長も17mから18mにアップしました。
ただし、全長の引き上げによって交差点の通過に支障が出ないように、以下2つの条件が設定されています。
- リアオーバーハングの制限として、連結全長17.5mまでの場合は3.2m以上4.2m以下、連結全長18.0mまでの場合は3.8m以上4.2m以下であること
- 通行許可申請ルートの交差点の交差角が90度以内であること
ちなみに特例8車種のセミトレーラーでも特殊車両の通行許可申請は必要です。
数値が緩和されたことで通行できる区間が広がるのは間違いないですが、審査が甘くなるわけではありません。特に新しく追加されたリアオーバーハングの制限値は頭に入れておきましょう。
車両総重量の規制緩和
車両総重量についても段階を経て少しずつ規制緩和が進んでいます。
まず改正前の状況についてですが、セミトレーラーの連結中心から最後軸までの距離(最遠軸距)に応じて20~28tの制限がありましたが、海上コンテナを除く特例8車種については32tまでとする保安基準の緩和措置が取られていました。
その後、平成27年の省令改正によって保安基準の緩和の必要なく車両総重量が36tまで認められ、2軸のエアサストラクターとの連結時の車両総重量は44tまで可能になりました。
このように全長と車両総重量の緩和が進んだことで、従来よりも多くの貨物を積んで走行できるようになりましたが、その一方で過積載を行ったときの罰則も強化されています。運転者や事業者だけでなく、荷主も行政処分の対象となります。
違反が発覚した場合、罰金や資格停止などの処分が下り、社会的な信用を失うこともあるので、緩和後の基準を順守して安全運行に努めてください。
バラ積み緩和の背景とメリット
バラ積み緩和は、長大物の輸送時に特別に認められていた緩和措置をバラ積み輸送にも適用したものです。保安基準を満たした特定8車種に限られます。
従来は軸重10tの条件がネックとなり国内コンテナは国際海上コンテナの運搬能力に及びませんでした。しかし軸重条件が見直されてからはバラ積み緩和でより重い荷物を運べるメリットが生まれ、特殊車両通行許可を取ったセミトレーラーで同等の量を運べるようになりました。コンテナを船で運ぶときの効率もアップします。
フルトレーラの全長規制緩和
ドライバー不足や高齢化といった問題に対応するため、国土交通省を中心として物流の効率化に取り組んでいます。
その中でフルトレーラーの全長規制を緩和して輸送能力をさらに増強する試みが注目されています。目玉となるのが大型トラック2台分の荷物を積載できるダブル連結トラックです。実現のために従来のフルトレーラ連結車の全長基準である21mを最大25mまで緩和しました。平成28年に実験走行が開始され、令和元年には本格導入の区間が東北自動車道から九州自動車道まで拡大されました。
大手の物流会社が参加した実証実験によって、トンキロあたりのドライバー数は5割削減でき、燃料消費およびCO2排出量も4割減らせることが確認できました。
トレーラの道路運送車両の保安基準と車両制限令の変化
適用時期 | 道路運送車両の保安基準 | 車両制限令 等 |
昭和26(1951) | 総重量20t・全長12m・全幅2.5m・全高3.5m・最小回転半径12mを設定 ※連結車でも個別車両の諸元とする |
なし |
昭和30(1955) | 上記に軸重10t・輪荷重5t※連結車でも個別車両の諸元とする | なし |
昭和36(1961) | なし | 総重量20t・全長12m・全幅2.5m・全高3.5m・最小回転半径12m・輪荷重5tを規定 ※連結車は連結状態での諸元 |
昭和46(1971) | なし | 車両全体の改正 ①特殊車両の通行許可制度の導入 ②高さの最高限度の引き上げ(3.5mから3.8mに変更) ③セミトレーラ連結車に係る特例の導入 ・連結車両総重量の最高限度の引き上げ。高速道路34t、その他の道路27t ・高速道路でのセミトレーラ連結車全長を16.5mに引き上げ |
昭和47(1972) | 車両全高を3.5mから3.8mに平行 | なし |
昭和60(1985) | なし | 【通達】高さ9フィート6インチの海上コンテナの通行を許可 |
平成3(1991) 10月 |
ABS(アンチロック・ブレーキシステム)装置義務付け ※対象:大型トラクタ・危険物運搬トレーラ |
なし |
平成5(1993)
11月 |
総重量:軸距と車両全長に合わせて20t,22t,25tに変更 | |
セミトレーラは20t,22t,24t,26t,28tに変更 | ||
トレーラ全長:キングピン中心から車両後端部までの長さを12mに変更 | なし | |
軸重:隣接軸重(隣り合う軸重の和)の条件に合わせ18t,19t,20tを追加 | ||
平成7(1995) 9月 |
ABS(アンチロック・ブレーキシステム)装置義務付け ※対象:トレーラ全てに拡大 |
なし |
平成10(1998) 4月 |
国際海上コンテナ(輸出入貨物のISO規格コンテナ)のフル積載走行を許可 ※フル積載重量について 20フィートコンテナは20.32tから24tへ、 40フィートコンテナは24tから30.48tへ見直し |
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平成10(1998) 6月 |
なし | 【通達】指定道路は、A条件の許可限度重量が約4t引き上げられた(例:最速軸距12mのセミトレーラ連結車の総重量を29.2tから33.6tに引き上げ) |
平成11(1999) 2月 |
国際海上コンテナ(輸出入貨物のISO規格コンテナ)の危険物運搬20フィートタンクコンテナのフル積載重量を24tから30.48tに変更 | |
平成15(2003)
10月 |
分割可能な物についても、セミトレーラ総重量36t、連結車両総重量44tを上限に、必要条件を付して通行を許可 ※対象:特例8種類のセミトレーラ |
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20フィートの国際海上コンテナ(輸出入貨物のISO規格コンテナ)のフル積載重量を24tから30.48tに変更 | ||
平成27(2015)
5月 |
バン型等セミトレーラ連結者について、トラクタの駆動軸重を10tから11.5tに | |
特例8車種のセミトレーラの車両総重量を一律36tに | なし | |
特例8車種のセミトレーラの全長(キングピン中心から車両後端部まで)を12mから13mに、それぞれ引き上げ | なし | |
なし | 45フィートコンテナ積載車両を始めバン型等セミトレーラ連結車全体を対象に、条件付きで車両全体を17mから18mに引き上げ 車両通行許可書の許可条件の見直し |
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平成27(2015) 6月 |
なし | 車両通行許可の許可条件の見直し |
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