トラックはその荷台にたくさんの荷物を載せて近距離から遠距離までいろんなところに荷物を運んでいます。荷物を積み込む基地では人も設備も揃っているので積込作業を行う際に困ることはなかなかありませんが、荷下ろしをする際には荷台から人力で降ろすことが難しいものも多数あります。重い荷物を荷台から降ろすときに力強い味方になってくれるのがパワーゲートです。今回はパワーゲートについて紹介します。
トラックやバスに使われるパワーゲート(リフト)って何?構造はどうなっているの?
パワーゲートとは荷役作業の省力化を担う装置であり、いくつかのメーカーが製造・販売をしている装置です。一般的には新車導入時の架装を行う際に取り付けることが多く、パワーゲートという呼び方のほうがなじみのあるという人も多いかもしれません。
パワーゲートのほかにもテールリフター、テールゲートリフター、リフター、フルゲートリフターなどと呼ばれることもあります。すべて同じ形状、構造の機械です。パワーゲート、フルゲートリフターはどちらもパワーリフトを製造するメーカーの商品名です。これは小型移動式クレーンをユニックと読んでしまっているのと同じ状況です。
ここではパワーリフトやテールゲートリフターという表現を避けてパワーゲートという名称で説明させていただきます。
パワーゲートの構造については後ほど詳しく説明しますが、荷台後部に立てて収納する種類、荷台後部の床下に収納する種類があります。主な動力はモーターや油圧となります。モーターでワイヤーを巻き取ることでリフト部が昇降するというのが一般的な構造のものです。
パワーゲート(リフト)ってどうやって使うの?
パワーゲート(リフト)を使う荷物
代表的なのがプロパンガスではないでしょうか。背の高いプロパンガスボンベは50kg容器と呼んでいますが容器自体が35kg程の重量がありその中に50kgのガスが入っています。85kg近い荷物となるので人力で荷台が降ろすことは多くの人に取っては危険な作業となります。
この他ドラム缶入りの油や重機、大型家電などでありパワーゲートは人力で降ろすことが困難な荷物を運ぶ際に有効なものです。
このような荷物を専門に運ぶ車はもちろんですが、一般的な宅配車両にも取りつけてあることの多い装置です。またトラックだけでは車椅子に乗った人を簡単に車に乗ってもらうためのパワーリフトもあります。
パワーゲート(リフト)の操作方法
パワーゲートの操作方法はとても簡単で直観的な動かし方です。
ボタンやトグルスイッチなどスイッチの形状や向きなどは取付業者さんが希望に沿ってくれますが操作はリフト部を上げるか下げるかだけです。
リフト部の大きなものになるとリフトを倒す操作ができるものもありますが、多くのパワーリフトは上げるか下げるかしか操作しませんし、できません。
あまりにも直観的な操作方法であるため下校途中の小学生に触られそうになることもあります。リフト部に載っている荷物とドライバーが昇降する姿に興味を持つようです。
また車から離れても操作できるようリモコンタイプのスイッチを選ぶこともできます。大型車のパワーゲートはサイズも大きくなるのでリモコンがあると作業性が向上します。
パワーゲート(リフト)の構造
パワーゲートには垂直式とアーム式という2つの種類があります。
詳しくは後ほどとなりますが、どちらの種類にも共通していえることはリフト部の先端(後ろ側)に行くほど耐荷重が落ちていきます。重いものをできるだけ荷台側に積むようにしましょう。
リフト部の動力はモーターによるものから油圧シリンダーのものへ変わりつつあります。またリフト部は溶接の少ないプレス式と呼ばれるものが増えてきています。
パワーゲート(リフト)を使うことのメリット
パワーゲートを使うことで重量物の積み込みや荷下ろしが簡単になります。
これにより腕力や体力を問わず多くのドライバーが重量物の運搬を行うことができます。危険の少ない作業となるので労働災害の減少にも大きく役立っています。
重いものを荷台から落とすことで発生するケガ、重いものを持ち上げようとしてぎっくり腰などの発生どちらも完全な労働災害となりますからこのようなリスク回避という意味も企業側にはあります。
トラックドライバーの腰痛率はかなり高いですから腰痛防止のためにも有効と言えるでしょう。腰痛防止のためと考えると一見高価な架装と思われるパワーゲートの価格も必要経費と考えることができるかもしれません。
数十万円の価格も車体の償却に含めて10年単位で考えればそこまでの負担にもなりません。
パワーゲート(リフト)にはどんな種類があるの?
パワーゲートは大きく分けて2つの種類に分類されます。リフト部が垂直に昇降する垂直式と荷台後部から離れながら下に降りるアーム式の2種類です。また走行時の格納方法も荷台後部に立てて格納するか、荷台後部の床下に格納するかで選択が変わってきます。
垂直式パワーゲート(リフト)
プロパンガスやタイヤを運ぶ車でよく見かけるのが垂直式で後部格納タイプです。
このタイプは荷台の後ろのアオリを外してリフト部を立てて格納しています。リフト部の昇降に垂直なレールが必要であり、レールが確保できれば荷台よりも高い位置にリフト部を持ち上げることも可能となります。
平ボディ(軽トラックのような形状)には屋根や囲いがないのでレールの取付が可能なため垂直式の採用が多くなっています。
アーム式パワーゲート(リフト)
アーム式は荷台後部の床下に取り付けたアームでリフト部を昇降させる構造となっています。荷台の後ろについていたリフト部が少し荷台から離れて下に下がっていくので重心の高い荷物には不向きかもしれません。
垂直式と比べるとリフト部がゆっくり接地するので重心の低い重量物(重機などを含む機械類)などにはアーム式のほうが向いているようです。
アーム式はレールが必要ではなくまたリフト部を床下に収納させることもできるのでウイング車やアルミバンのような形状のトラックに取り付けることが可能なタイプとなります。
パワーゲート(リフト)のメーカー・平均価格・相場は?後付けできる?
パワーゲート(リフト)メーカーは主に2社
パワーゲートのメーカーは数社あるようですが、新明和工業、極東開発工業の2つのメーカーがシェアも高くよく見かけるパワーリフトメーカーとなります。
価格の目安としてはアーム式100万円、垂直式50万円となります。サイズやリフト分に載せる荷物の重さなどで価格は変わってきますので注意してください。
他にもメーカーは数社ありますがこの2つのメーカーを軸に考えれば機能・価格についても問題はないでしょう。
パワーゲート(リフト)の後付けは可能
パワーゲートの後付けについては、もちろん可能ですがパワーゲート自体の重量がある分積載量が少なくなる場合もあります。車検証の車両総重量というのは車両重量+乗員人数+最大積載量となるので車両重量がパワーリフト取付で重くなってしまうと最大積載量が小さくなってしまいます。そのため後付けよりも新車登録時にパワーリフトを架装した状態で登録するのが理想的です。荷物に対して積載量の余裕のない場合は注意する必要があります。
パワーゲート(リフト)はレンタルできる?
パワーゲート(リフト)付きのレンタカーは存在する。
パワーゲート車のレンタカーは実際に存在します。よってパワーリフト車をレンタルすることは可能です。トラックの多くは購入時にそれぞれの仕事に合わせた架装を行います。(荷台の改造と思ってください)それぞれの業務に特化したトラックを使用している中、レンタカーで存在するパワーリフト車は平ボディ(軽トラックのような形状)の後部にパワーリフトを取り付けた車両がほとんどです。引っ越しなどに使用するのに最適なトラックです。
あまり特殊な架装のトラックはレンタカーではないので注意する必要があります。業務内容に合わせてトラック架装を行っているのであればいつも通り使うことのできる車をレンタルするのは難しいかもしれません。
レンタカーで仕事ができない場合に要注意
パワーゲート車に限ったことではありませんが、緑ナンバーの車両を使用して業務を行う運送会社であれば、レンタカーを使用して業務をすることは原則できません。
但し、春の引っ越しシーズンについては条件付きではありますが事前に申請することでレンタカーを使用することもできるようです。条件や期間などかなり限定的なものなのでよく確認してください。
パワーゲート(リフト)に生じる不具合は?
荷物をトラックに載せるときも降ろすときにも活躍するありがたいパワーゲートですが機械である以上故障などの不具合が発生することがあります。お客様の家の前で故障しないようによくある故障例を紹介します。パワーゲートの構造を理解することで長く支障なく業務に使用できます。
ワイヤーが切れる
とても困るトラブルですが、メンテナンスを行わずに数年使用していると起こり得る代表的なトラブルです。
ワイヤーを巻き上げてリフト部を持ち上げるパワーゲートのワイヤーが切れてしまうとリフト部は持ち上がりません。トラックを動かすこともできずに立往生することになってしまいます。
ではワイヤーがなぜ切れるかというと 束ねている素線のほつれや傷みから切れてしまったり脂切れを起こしてワイヤー自体が乾燥することで腐食が進行するなどが原因となります。レールの中で動き続けているワイヤーですから摩擦による摩耗も発生します。
ワイヤーに適したグリスを塗ることでワイヤーは長持ちしますし、定期的なメンテナンスでワイヤーの状態も点検できます(してくれます)ワイヤー切れは後の処理がとにかく大変なので気をつけてください。
ワイヤーが切れてしまったら
ワイヤーが切れてしまったらリフト部を格納させないと車として走行することができません。修理に出すにしても自走させないといけませんから、リフト部を立てて固定させないといけません。そのためにリフト部を荷台の高さまで持ち上げた上でリフト部を立ててフックを掛けて固定させます。リフト部を持ち上げるのは力自慢の男性でも厳しいと思います。
ちなみに私は自他ともに認めるガリガリ体形で数回持ち上げたことがありますが3人掛かりにはなります。人力の他には同じようなパワーリフト車で現地に行き持ち上がらないリフト部の下に駆け付けたパワーリフト車のリフト部を敷き持ち上げるという方法です。これは持ち上げる力は不要ですが、最後にフックを掛けて固定させる際にどうしても力仕事になってしまいます。
ワイヤー切れはパワーリフト車の代表的なトラブルですが、こまめなメンテナンスで防げるものでもあります。切れて困る前に切れないよう心がけましょう。
荷台とリフト部の高さが合わずに段差ができてしまう
長い年数使用し続けていると荷台の高さとリフト部の高さが揃わなくなることがあります。対応としては調整が必要となるのでこういった場合はプロに任せましょう。パワーリフトを取り付けた業者さんやメンテナンスのできる業者さんに見てもらってください。
昇降のスイッチが操作をしても作動しない
こちらもよく発生するトラブルです。スイッチの故障かどこかで断線していることも考えられます。リフトの動きとスイッチ操作が合わないときはお早目に業者さんに診てもらってください。電気系統なので原因の調査に時間がかかることもあります。
パワーゲートはドライバーの労務環境改善に役立つ便利な装置です。現在、使用中の車両に後付けすることもできるので必要であれば導入を検討してみてください。便利な装置ではありますが機械である以上メンテナンスが非常に重要です。安全のための装置で危険な作業とならないよう構造を理解して定期的な点検を欠かさずに使用してください。パワーリフトの種類によってその構造もまちまちな部分があるので使用される前は説明書の確認や使用した経験のある人のアドバイスを受けましょう。
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