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ダンプカー

ダンプカーの車両区分別の積載量/荷台寸法と過積載についてまるわかり!

ダンプカーとは

ダンプカーとは、荷台を傾斜させて一度に荷降ろしができる機械装置を持つトラックのことです。
油圧動作で荷台の傾斜角を制御でき、積み荷を短時間で排出できます。『damp(ダンプ)=荷物をどさっと下ろす』の意味が名称の由来です。ちなみに、ダンプカーという名称は和製英語で、英語ではダンプトラック(damp truck)と呼ばれます。

主な運搬物は、砂利や土砂の他にも、道路舗装工事の路盤材に使用される砕石や、汚染土・汚泥といった産業廃棄物もあります。

ダンプカーの積載物による分類

土砂ダンプ

土砂ダンプとは、文字通り土砂を運ぶダンプのことですが、ダンプ規制法が定める土砂には、土、砂利、砕石に加えてコンクリートやアスファルト、モルタルも含まれます。例えば、土木工事や解体現場で発生したコンクリートくずは産業廃棄物ですが、その運搬は土砂ダンプの許可を受けた産業廃棄物収集運搬車両が担当します。

なお、土砂を運搬する大型ダンプを運転するには、同法に基づき、荷台の両側面と後面の見やすい位置に表示番号を表示する義務があります。
配色や文字の大きさにも細則があり、白地に黒字とし、文字幅は150mmの決まりがあります。

運搬中に土砂をこぼさないよう、アオリに取り付けるシートの使用や飛散防止カバーの装着は認められていますが、アオリを高く変更することは禁止されています。

土砂禁ダンプ

ダンプカーが運ぶのは、土砂のような重いものだけではありません。使用済ペットボトルや発泡スチロールなど、軽量だけど容積がかさむ荷物の運搬も担います。
土砂禁ダンプは、これらのかさ高い積荷を一度に沢山運べるように、アオリを深くかつ高くして大容積の積載を可能としたダンプのことで、深ダンプとも呼ばれます。

土砂禁ダンプに土砂を積むと、最大積載量の何倍もの重量となってしまい、深刻な過積載事故を引き起こす原因となるため禁止されています。たとえ少量であっても認められません。
土砂以外にも鉱さい、がれき、コンクリート類、陶器・ガラス類、汚泥といった比重の大きなものが積載できません。

ダンプ規制法違反にならないよう、『深ダンプで土砂類は運べない』と覚えておきましょう。

ダンプカーのサイズによる分類

小型ダンプ

軽ダンプを除く普通車で最も小さなダンプが小型ダンプの車両区分です。積載量が2t~3tと小型トラック並ですが、荷台が接地する特徴を持つ小型スライドダンプは、小型建機の運搬用途にも適しています。

小型ダンプの車両寸法は、道路運送車両法(以下、車両法)により、全長4,700mm以内、全幅1,700mm以内、全高2,000mm以内です。

日野デュトロダンプのサイズは、全長4,680mm、全幅1,695mm、全高1,970mm車両総重量は約5tです。

中型ダンプ

中型ダンプの車両区分は、積載量が4t~5t前後です。小回りの効く特徴を活かし、主に工事現場への土砂運搬用途に使われます。

中型ダンプの車両寸法は、車両法の基準では全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内ですが、積載量の制限もあり、実車寸法はこれより大分小さく収まります。

三菱ふそうの中型ダンプ『ファイター』のサイズは、全長5,420mm、全幅2,180mm、全高2,430mm車両総重量は約8tです。

大型ダンプ

大型ダンプの車両区分は、積載量が9t~11tです。いわゆる10tダンプです。大量の土砂を運搬する用途に向いており、ダム工事や採掘現場などで活躍します。

大きさの割に高い走破性能を特徴に持つ大型ダンプの車両寸法は、中型ダンプと同様に全長12,000mm以内、全幅2,500mm以内、全高3,800mm以内です。

いすゞの大型ダンプ『ギガダンプ』のサイズは、全長7,635mm、全幅2,490mm、全高3,400mm車両総重量は約20tです。

ダンプカーの最大積載量は車両区分によって違う

最大積載量とは、車両総重量から車両重量と乗車定員×55kgを差し引いた数値で、詰める荷物の最大量のことです。

小型ダンプの最大積載量

小型ダンプの車両区分の積載上限は3tですが、最大積載量2tの小型ダンプもありますいすゞエルフダンプ、三菱キャンターダンプともに最大積載量は2tです。

しかし現行の普通免許では最大積載量2tの小型ダンプですら運転できないので注意です。ダンプは骨組みまで強化された特殊な荷台を持つため、一般の小型トラックよりも重く、車両総重量は普通免許の上限である3.5tを超えるからです。

ゆえに小型トラックの運転には、最低でも準中型免許が必要です。

中型ダンプの最大積載量

中型ダンプの車両区分における最大積載量は6.5t未満ですが、実際の積載量には幅があります。

4tダンプの通称を持つとおり、最大積載量4t前後のダンプが中心ですが、積載量を稼ぐために増トンを行い、最大積載量を6t~8t程度まで増やしたダンプも存在します。
大型ダンプに近い積載量を持つこれらの増トン車まで中型ダンプと総称されることもあるので免許条件違反に注意です。

ダンプ表示番号の表示義務は最大積載量5t超なので、増トン車も対象です。

大型ダンプの最大積載量

大型ダンプの車両区分の最大積載量は11t未満で、主要な大型ダンプの最大積載量も9t~11tの範囲に集中します。これら最大の車両区分に属する大型ダンプは10tダンプとも呼びます。

いすゞギガダンプ最大積載量は9.4t三菱ふそうスーパーグレートダンプの最大積載量は9.8tです。

土砂物の運搬に使われる大型ダンプカーは、最大積載量5tを超えるため、運輸支局で表示番号の指定を受ける義務があります。

ダンプカーの荷台寸法は車両区分によって違う

小型ダンプの荷台寸法

ダンプカーは車両区分ごとにサイズと積載量が異なるので、荷台寸法も車両区分の大きさと比例します。

最大積載量2tの小型ダンプカーである日野デュトロダンプの荷台寸法は、長さ3,500mm、幅1,600mm、高さ320mmです。

荷台容積を計算すると、1.79㎥です。仮に水で荷台を満たすとすれば、その重量は約1.8tとなります。しかし土砂は水より重いので、アオリから溢れるほど積載すると過積載になります。

中型ダンプの荷台寸法

最大積載量3.9tのいすゞフォワードダンプの荷台寸法は、長さ3,400mm、幅2,060mm、高さ360mmです。

車両区分は小型ダンプよりも大きいにも関わらず、荷台長さが抑えられ、幅が拡張されているのが特徴です。

荷台容積は2.5㎥となり、中型ダンプでも比重1.7の砂で満載状態にすると4tを超えるため過積載です。仮に乾燥重量が規定内でも雨などで水分を含むと重くなるので注意です。

大型ダンプの荷台寸法

最大積載量9.4tのいすゞギガダンプの荷台寸法は、長さ5,100mm、幅2,200mm、高さ530mmです。

大型ダンプの車両区分になると、荷台寸法も中型ダンプと比較して長さ、幅、アオリの高さともに一段と大型化されていることが分かります。荷台容積は中型ダンプの倍以上の5.9㎥です。

しかし、大型ダンプの積載能力をもってしても、積載重量には限度があります。過積載にならずに荷台容積を埋められる積み荷を選ぶとすれば、比重1.6前後の乾燥土が目安です。

ダンプカーの過積載には要注意!

ダンプカーの過積載とは

過積載とは、車両ごとに規定された最大積載量を超える荷物を積んで走る行為で、道路交通法違反です。貨物を繰り返し運ぶことを仕事とするトラックやダンプカーなどの貨物自動車では、積み荷の重量を見誤ると過積載に直結します。

特に、ダンプカーが運ぶのは、バラつきやすい粒状の積み荷が相手ですし、荷台には屋根がありません。ダンプカーの過積載走行は、中身が道路に落下したり、重心移動でバランスを失ったりして思わぬ事故を引き起こします。

ダンプの過積載がなくならない理由

運送業全体で見た場合、積載制限を超えたトラックの過積載は減少傾向にあります。どんな品物を何トン積んだかという記録は荷主側にも残されるため、あからさまな過積載を行う運送会社は荷主が敬遠するからです。しかし、ダンプ業界の場合は少し事情が異なります。

現場で発生した土砂は、重機操作によって行列を作るダンプに1台ずつ積み込まれていきます。そこには、どのダンプに何トン積んだかという意識が希薄になりやすい現場風土があります。ダンプドライバー自身も、過積載だと分かっていても荷主に対して文句は言いづらいですし、利益優先で積載量を誤魔化す悪質な一発屋も未だ存在します。

つまり、ダンプカーの過積載が減らない原因には、

  • 不定型な積み荷という特殊性
  • 荷主や事業者のコンプライアンス意識の不足

が考えられます。

ダンプの過積載がもたらすリスク

太いタイヤと丈夫なシャシーに加え、強化された荷台まで持つダンプカーは、その力強い風貌を見るに、いくら積んでも壊れないように見えます。
しかし、最大積載量の何倍もの積載を行うと、設計時の見積もりを大きく超える力がかかって車体に歪みが生じますその結果、タイヤの接地部が潰れ、走行が危険な状態となります。

ダンプの過積載は、タイヤの破裂、脱輪、車軸の破断など、足回りの損傷が発生するリスクを上昇させます。重量増加でブレーキの効きも悪くなり、燃費も極端に悪化します。

カーブや交差点の通行時は、旋回が困難になりますし、想定を超えた重量物の走行は道路の劣化を著しく進行させます。『過積載は道路にも車にも悪影響で事故の元』と強く意識し、規定重量を順守しましょう。

ダンプの過積載に対する罰則

ドライバーへの罰則

警察官が過積載ダンプを見つけると、その場で停止させ、過積載を解消するための応急措置を指示します。そして車検証の掲示を求めた上で積載物の重量を測定できます。
従わなければ懲役刑や罰金刑の対象です。

過積載を行ったドライバーには罰則として反則金や罰金が下されます。

  • 5割未満の過積載であれば、違反点数2点と反則金3万円の処分
  • 5割から10割の過積載では、違反点数3点と反則金4万円
  • そして10割以上の過積載になると、違反点数6点と10万円以下の罰金

平成26年度からは悪質な過積載への罰則が強化され、最大積載量の2倍を超える過積載が確認された場合は道路法違反として即時告発が実施されます。

事業者への罰則

ダンプの過積載が発生すると、車両の使用者に相当する事業者側にも罰則が適用されます。使用者責任を明確にし、再び過積載を起こさないようにするためです。

過積載の発覚後に積載量見直しなどの適切な措置を取らず、1年以内に再び過積載を行った場合は、公安委員会により3ヶ月以内の当該車両の使用制限が実施されるなど、運行管理の改善指示が出ます。

さらに繰り返される悪質な場合は、懲役または罰金刑となり、最悪の場合は事業許可取り消しの処分が下されることもあります。

運航管理者への罰則

運航管理者はダンプ運転手の安全運行を維持するための勤務時間や運行管理を行う立場です。過積載の責任は、その運行を指示した運行管理者にも及びます。

例えば、過積載によって死傷事故が発生した場合や、違法な積載量と知りつつ運行を指示した場合、証拠隠滅・改ざんを行った場合には、罰則として運行管理者資格者証返納命令が出ます。

過積載の対策方法

目視で計測する

ダンプの過積載を防止するための身近な対策として有効なのが、目視での計測です。
コツは荷台枠を基準とすることです。土砂の場合は、ならして荷台枠の高さになれば最大積載量です。土砂より比重の小さいコンクリートやアスファルトなら、荷台枠から20cmまでの高さまでが目安です。

ただし、実際の積み込み時には、オペレーターが重機を使って土砂を投入するため、理想的なすり切り状態で判別できることは少ないですが、ならしたと仮定して、目分量で判断すれば良いです。
現場によっては、過積載にならない積載基準の荷姿写真を提供されるので、運転席に貼り付けて参考にします。

他にも目視を使った重量見積もりには、リアサスペンションの下がり具合も目安になります。過積載の取り締まりで警察官がチェックするポイントもリアサスの落ち具合です。

自分の目で正しい積載量を把握できるスキルは、多少の経験は必要ですがコツを掴めば難しいものではありません。過積載を未然に防ぐために会得しておきましょう。

自重計を利用する

自重計とは、ダンプの荷台下部に設置された、積載量を計測する装置のことです。
過積載防止対策として、ダンプ規制法により、車両総重量8t以上または最大積載量5t以上の土砂等を運搬する大型ダンプ車には自重計の搭載が義務付けられています。

自重計のメーターを利用することで、積載量を迅速かつ正確に把握できるメリットがあります。自重計は1年に1回の定期点検を行い、合格すれば自重計技術基準適合証が発行されます。この適合証は新車登録時や車検時に必要となります。

ダンプカーの最大積載量を把握して過積載には注意しよう

ダンプカーの仕事は、土や砕石を日に何度も積んでは運ぶことを繰り返すため、積載量に対して無頓着になりがちです。
一方で、警察の過積載取り締まりは、ダンプに厳しい目を光らせます。たまたま今回だけ作業場で積まれた土砂がいつもより多かったという言い訳も通用しません。

つまり、ダンプカーは過積載を発生させやすいトラックといえます。安全運行のため、そして道路への過剰な負担を抑えるために、車検証の最大積載量を確認し、積載量を正しく把握して、過積載防止に努めましょう。

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